恒松祐里 『全裸監督2』出演せず後悔したくなかった

日経エンタテインメント!

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『全裸監督シーズン2』で主人公・村西とおるの新たなミューズ・乃木真梨子役に抜てきされた恒松祐里。現在22歳、映画『凪待ち』(2019年)、『スパイの妻』(20年)と話題作に次々と出演。目下放送中のNHK連続テレビ小説『おかえりモネ』ではヒロインの幼なじみ役を好演し、朝ドラファンを沸かせている彼女は、出演の話が来たとき、どう思ったのか。

1998年生まれ、東京都出身。2005年ドラマ『瑠璃の島』で子役デビュー。映画『凪待ち』(19年)でおおさかシネマフェスティバル2020新人女優賞受賞。主な出演作にNHK大河ドラマ『真田丸』(16年)、映画『アイネクライネナハトムジーク』(19年)など(写真:藤本和史)

「オファーをいただいたことにまず驚きました。少し考える時間をいただいて、その間、シーズン1を見たんです。お芝居の熱量に圧倒されましたね。そしてシーズン2の台本を読んだら、乃木真梨子役を演じてみたいと思ったんです。ただラブシーンがあるので、ものすごく悩みました。

両親の反対はありませんでした。むしろ、芸術が好きで海外の映画などよく見るので、『いいんじゃない』と後押ししてくれたぐらい。悩んだのは、私自身の問題です。脱ぐことにはあまり抵抗はなかったんですが、ただいろいろ考える中で、将来結婚して子どもが生まれて、その子どもが私の仕事が原因で何か言われないかななどネガティブなことも浮かんでしまって。

でも、コロナ禍の今、明日、何が起こるか分からない。こんな素敵な作品に出合い、やりたいと思ったのにやらなかったら後悔する。だから、やると決めました」

まるで部活のような特訓

役作りのために、武総監督から、女優同士の愛憎を描いた映画『イヴの総て』を渡され、「微妙なニュアンスを参考にした」という。また、村西の放漫経営の末、所属女優たちが総出でストリップをするシーンのため、ストリップの特訓も受けた。

乃木真梨子を演じるにあたり、スタッフが集めた昔の映像やインタビューシーン、雑誌の切り抜きなどを参考に「雰囲気やたたずまいを意識した」という。Netflixオリジナルシリーズ「全裸監督 シーズン2」Netflixにて全世界独占配信中

「ストリップを踊るために1カ月、女子チームはまるで部活の特訓のよう。練習の前に、実際のストリップの舞台を見ましたが、どの角度から見ても美しいポーズでなければいけなくて、それは芸術品のようでした。やると非常に難しかったですね。

ただ、私は4歳から14歳までバレエをやっていたおかげで体が柔軟で。先生はそれを生かした振り付けをつけてくださった。おかげで見せ場ができました」

コロナの自粛期間も含めて、ほぼ半年間に渡った撮影。挑戦することも多かったが、その分、得るものも多く、計り知れない経験になったという。

「一番印象的だったのは、山田(孝之)さんのお芝居です。何テイク重ねても熱量は変わらず、村西がそこにいる感じ。そんな生の山田さんの芝居を見ることができたことは大きかったですね。そして、半年もかけて1つの役をやるということも貴重な経験でした。

さらに言えば、Netflixで配信されることで、私のことを知らない海外の人にも知ってもらえるというのは大きなチャンスだと思っています。実は私は海外ドラマが好きで、Netflixの『ザ・クラウン』が気に入っています。英国王室を描いた作品で、とても上質なドラマなんです。そんな作品と一緒に並んで、『全裸監督』が世界のいろんな人の心に伝わるといいなと思っています」

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