為替の仕組みを自然と学ぶ
実際に米ドルでこづかいをもらい、ドル札をパパ銀行で円に両替するようになると、子どもたちは「円にするとお得なとき」と「円にすると損をするとき」があることに気が付きます。
例えば、毎月1000円のこづかいをもらう子が、ドルでもらうことを選択したとします。すると、ある月は円高で1ドル100円。もらうこづかいは10ドルです。別のある月は円安で1ドル110円。もらうこづかいは約9.1ドル。1ドル近く少なくなってしまうのです。
逆に10ドルを円に換金しようとすると、1ドル100円の時は1000円に、1ドル110円の時は1100円になります。少しでも多くお金が欲しい子どもたちは、わずかな金額の差も懸命に考え、円・ドルどちらでこづかいをもらうか、いつパパ銀行でドルを円に替えるかのタイミングを、自分が円貨を使いたい時期と鑑みて計っていくのです。
円でもらうか、ドルでもらうかは前述のように選択制。円でもらってしまえばこのような面倒なことを考えなくてもよいので、子どもは円を選びがちです。そこで、少しでもドルでもらうことを選択してもらい、かつ子どもが「損した」という気持ちにならないよう、ドルでもらうことを選択した時は「1割増し」で渡すことをルールとしています。
こうした配慮もあって、頭の回る子はドルを多くもらえるときにもらってため、円を多くもらえるときに円に両替をする、とうまく立ち回っています。
このようにして、自然と為替レートに関心が向くようになっていくのです。はじめからこのような結果を狙って始めたことではありませんでしたが、結果的には子どもにとっての学びにもつながり、良い結果になったと思っています。
デメリットも
子どもの金銭教育の面では、ドルを持たせることは有効だと、この17年を振り返って思います。ただ、デメリットもあります。円をドルに替えておく手間はもちろんのこと、両替をする手数料がかかることです。都市銀行では1ドルの両替に2円ほどの手数料がかかります。ドルを円に戻す時も同様です。
ですが、多少手数料がかかっても、子どもをドル、または他の外貨に関わらせることは有効だと感じています。もし興味を持たれたら、まずは海外旅行の時に残った外貨を活用するなどして、子どもに外貨を与えてみてはいかがでしょうか。もしかすると、思いもよらない反応がみられるかもしれません。
