チェターラのコラトゥーラ生産者がカタクチイワシを塩漬けした木桶。液を滴らせるために底に穴を開けた木桶は、底だけ外して再利用する(写真提供 脇本道明氏)

チェターラ産の魚醤は、2020年10月、「コラトゥーラ・ディ・アリーチ・ディ・チェターラ(チェターラのカタクチイワシのコラトゥーラ)」としてEU(欧州連合)がDOP(原産地呼称保護)製品として認定したばかり。この魚醤の名前は、これから世界に広まることになるだろう。

チェターラのコラトゥーラは、DOP認定を受けたことにより、生産地域や生産工程が厳しく定められ、品質が管理されることになった。原料であるカタクチイワシの漁場は、サレルノ県から12マイル以内、水深50~200メートルの海域。カタクチイワシは漁から12時間以内にサレルノ県内の工房へ運ばれ、加工はそれから8時間以内に手作業でなされる。コラトゥーラは澄んで輝きがあり、褐色がかったこはく色であることなどが規定されている。

チレント国立公園=PIXTA

塩とアンチョビで多様なコラトゥーラ

チェターラ以外にも、コラトゥーラはイタリア南部やシチリアなどでつくられている。原料はアンチョビと塩だが、生産が独自のやり方でなされているので、コラトゥーラの香り、塩分、色、透明度などがそれぞれちがっていておもしろい。今回は、チェターラと同じティレニア海で水揚げされたカタクチイワシをサレルノ県内の工房で加工したコラトゥーラをご紹介しよう。

チェターラと同じカンパーニャ州のチレント国立公園に工房をもつディ・ルチア社は、1980年代に鮮魚店からスタートした。マグロやサバのオイル漬けを工房でつくり始めたのがきっかけで、アンチョビのオリーブオイル漬けやコラトゥーラを手がけるようになった。当社のコラトゥーラの熟成期間は4~6カ月で、香りに粗削りな複雑さがある。

ディ・ルチア社のコラトゥーラ100ml。輸入元は薬糧開発(横浜市西区)で、オンラインショップ「ビオクル」にて参考小売価格1980円にて販売

さて、このコラトゥーラ、どのように料理に使えばいいのだろう。

チェターラの生産者にわたしが教えてもらった最も簡単なパスタは、塩を入れずにスパゲティをゆで、ボウルにオリーブオイル、つぶしたニンニク、刻んだイタリアンパセリ、コラトゥーラを入れて、ゆであがったパスタをあえるというもの。コラトゥーラに塩分があるため、パスタの湯には塩を入れない。コラトゥーラのスパゲティは、クリスマス前夜を主に、3月くらいまで食べるのが現地の習慣である。コラトゥーラをからめたパスタは塩辛いどころか、かすかに甘みさえ感じさせる。

次のページ
ミシュラン二つ星リストランテで修業したシェフのレシピ