「骨太の方針」に選択的週休3日制 休み増3パターン人生100年時代のキャリアとワークスタイル

2021/8/25
選択的週休3日制が注目される理由とは(写真はイメージ=PIXTA)
選択的週休3日制が注目される理由とは(写真はイメージ=PIXTA)

2021年6月に閣議決定された、政府の「経済財政運営と改革の基本方針2021」(骨太の方針)に盛り込まれた「選択的週休3日制」。ヤフーなど一部の企業においてはすでに導入されていますが、政府が推進を図ろうとする狙いはどこにあるのでしょうか。

週休3日制もタイプがそれぞれ

選択的週休3日制とは、希望する労働者に1週間のうち3日の休日を付与する制度をいいます。政府は、選択的週休3日制について企業に導入を促し普及を図ることを骨太の方針に盛り込みました。

ひと口に「週休3日制」と言っても、労働時間、給与、仕事量に注目すると、3つのパターンに大別できます。1つ目は、所定労働時間が減ることで、それに応じて給与・仕事量が減る「給与減額型」。たとえば、週40時間労働が週32時間になることで、給与が80%になるようなケースです。2つ目は、所定労働時間が減っても、生産性を上げることで給与・仕事量は変わらない「給与維持型」。3つ目は、1日の労働時間を延長することで、1週間の総労働時間は同じ、つまり給与・仕事量は変わらない「総労働時間維持型」です。たとえば、1日の所定労働時間を8時間から10時間に増やすようなケースです。企業が週休3日制を導入する場合、どのような制度内容にするかは、業種・職種や企業の導入目的によっても異なってくるでしょう。

休みが1日増え、労働時間が減るにもかかわらず、給与が同じであるなら、週休3日制は働き手にとって決して悪い話ではありません。東京都が昨秋実施した調査で、「在宅勤務・テレワーク」「時差出勤制度」「フレックスタイム制」など6つを挙げ、それぞれ、「既に導入されている」から「導入を希望しない」「わからない」まで5つの選択肢で現状や導入意向を尋ねたところ、「今後導入してほしい」の回答割合は「週休3日制」が54.5%で最も多く注目度がうかがえます(20年度 「働き方改革に関する実態調査」※賃金減少を条件として設定していないもの)。

給与が減ってまで週休3日制にしたくはない、という意見もあります。一方、休みが増えるなら、その分給与が減っても構わないという意見もあり、働き手のニーズによっても考え方に相違はあるでしょう。

家族の介護や育児、病気治療と仕事の両立など、ワークライフバランスを保ちながら働きたい人にとって、週休3日制はニーズがあると言えます。高齢者など仕事のペースを落として無理なく働きたい人もいるはずです。

また、副業・兼業などをしたい人にとっても追い風となります。仮に、本業の給与が減額になったとしても、副業などの組み合わせで所得が増加する可能性はあります。

選択的週休3日制副業・兼業の促進を後押し

このタイミングで、なぜ選択的週休3日制が骨太の方針に盛り込まれたのでしょうか。これは、新型コロナウイルス感染症によるパンデミック(世界的大流行)の影響も関係していると考えられます。コロナ禍をきっかけに、DX(デジタル・トランスフォーメーション)による経済産業構造や働き方の変化が一気に進みました。日本は世界においてデジタル化が思いのほか進んでおらず、スイスの有力ビジネススクール「IMD」の「世界デジタル競争力ランキング」(20年)においても63カ国・地域中27位と出遅れています。そうした中で、デジタル人材を育成することは急務の課題と言えます。

政府は人材への投資と労働移動を大胆に進めることを目指し、人材制度改革として「ヒューマン・ニューディール(人材への投資)」政策を進めています。成長性の高い分野へ、人材の円滑な移動を促進することが重要だとしていますが、そのためにも人材育成は欠かせません。

これまでは企業に人材育成を依拠していたところが大きいですが、終身雇用が崩壊し、非正規労働者も増える中、十分な人材投資が難しくなってきています。そのため国が呼び水となる人材投資と関連制度の見直しを行い、社会全体の動きをけん引することが求められているのです。

そこでリカレント教育(学び直し)の強化が叫ばれています。そもそも長寿化が進む日本において、長く働き続けていくうえで過去に学んだ知識に頼ることはできません。世の中が大きく変化していく中では、求められるスキルや能力も変わり続けます。そのため、絶えず能力開発を行ってスキルアップしていくことが活躍できる人材となるために重要なのです。

選択的週休3日制の導入は、働きながら学べる環境をつくり、新たに生み出された時間で、自ら能力を高めてもらうための狙いがあります。大学などの教育機関における学び直しに限らず、副業・兼業の推進も能力開発の一翼を担うものと期待されています。

フルタイムで働きながら、さらに副業などの時間を確保するとなると、健康面の負荷は避けられません。そこで週休3日制という選択肢を用意し、副業・兼業を促進したい意図が見て取れます。

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多様な働き方を推進する選択肢のひとつとしても有用