そうして「やっぱりリモートワークよりも対面で働く方が望ましい」と結論づける意見も聞きます。

けれども、リモートワークによって生産性をのばした企業の話も数多く聞きます。そこで私自身がそれらの会社にヒアリングをしてみたところ、意外な理由が見えてきました。リモートワークで伸びている会社には、2つの特徴があったのです。

第1に、一人一人がやるべき業務が決まっていること。

第2に、業務の計画やスケジュール管理がはっきりしていること。

逆にリモートワークで生産性が落ちた企業では、その時々のニーズによって業務分担を柔軟に組み替え、スケジュールについても臨機応変に対応することが求められる組織でした。

このような状況を考えてみれば、リモートワークが機能しないことと、働き方やマネジメントスタイルそのものとが強く関係しそうです。

リモートワークをきっかけにマネジメントスタイルを変えてみる

業務分担を明確にせず、柔軟性や臨機応変さを重視するマネジメントスタイルは、組織としての力を高めます。

たとえばある人が仕事を早く終えたら、他の人を手伝うことも可能です。スケジュールを前倒しにできれば、新しい仕事に着手することもできます。仮にトラブルが発生した場合にでも、一丸となって対応することもできるでしょう。

ただし、このようなマネジメントスタイルは、上司と部下の作業の境目をあいまいにします。部下が忙しくて業務期日が間に合わなさそうだったり、営業数値目標が未達になりそうだったりした場合には、上司自らが部下と同じ作業を行い、キャッチアップするようになります。

そもそも十分な人数が部署に確保されていないこともあるでしょうし、業績目標やスケジュールが厳しすぎるということもあるでしょう。

ただ、一丸となってなんとか対応していると、経営層もそれに甘えるようになります。つまり、従業員は増やさないけれど仕事は増やしたり、業績目標を高めてしまったりするのです。そして「みんなの力で達成しよう」という精神論だけを振りかざすようにもなってしまいます。

それらは、柔軟さを重視したマネジメントスタイルがもたらす弊害です。

だとすれば、一丸となるよりも個人の業務をはっきりさせ、柔軟ではないけれど計画と期日をしっかり守るマネジメントスタイルに変えることで、経営層やプレイングマネジャーの意識も変えられそうです。

そのきっかけとして、リモートワークはとても適しているのです。

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リモートワークはむしろ育成と組織業績達成に向いている
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