限定された期間、難易度が高い業務を担い、体制を整える

実際の就業例を紹介しましょう。あるスタートアップ企業は将来IPOを目指しているものの、経営陣の中に資金調達の経験者がいません。事業計画に沿って、どのタイミングで、どれくらいの金額を、どこから調達すればいいか、見当もつかない状況でした。

その会社が「業務委託のCFO」として迎えたのが、Aさん(40代、男性)。メガバンクで経験を積んだ後、ベンチャー企業2社の上場に携わり、現在はIPOを予定している企業で業務委託のCFOを務めている人です。

Aさんは、その会社の体制が整い、フルタイムのCFOを雇用できるようになるまでの間、「副業」として支援する形で契約しました。それから約半年で、混沌としていた財務はAさんの手によって整理され、いずれ正社員のCFOを迎える際のハードルも下がったのです。

一方、業務委託で「CHRO」を務めるのがBさん(40代、男性)。人材サービス会社を経て、ベンチャー企業のIPO前後の人事業務――労務・制度企画・人材開発・カルチャー作り・「ミッション・ビジョン・バリュー」の設定まで、幅広く経験してきた人です。

その経験をフルに生かし、採用・人材育成・制度設計・カルチャーづくりをはじめ、若い人事メンバーの育成も担っています。企業側としては、Bさんに若手メンバーを育ててもらい、実務能力を高めた上で、1年後くらいに正式なCHROを雇用したいと考えています。

新型コロナウイルス禍の中、組織基盤が脆弱なベンチャー企業にとって、強固な組織づくりは重要テーマ。ある意味孤独だったベンチャー経営者の「壁打ち」相手として、組織づくりの議論を重ねる中で、その経営者にとってのメンターやコーチになっているケースもあります。

このように、ベンチャー企業のファイナンス・人事分野では、柔軟な人材活用・働き方が広がってきました。外部から関わるCHRO人材を応援するようなアカデミーも生まれています。

ファイナンス・人事以外では、「広報」の分野でも、こうした働き方をする人が多くみられます。「マーケティング」分野でも広がる可能性はありますが、マーケティングは企業によって手法が多様であることや、割り切って外部の事業者に任せるもしくは逆に自社内に担当者を置いて知見を蓄積したいとする企業が多いことから、業務委託として関わるには、ややハードルが高いと言えそうです。

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