商機と勝機あふれる時代 起業のプロがみるコロナ禍新規事業家 守屋実氏

コロナ禍による社会の変化は
起業のチャンス
動き出すことで道は開ける

――起業や新規事業の創出支援を専門とする「起業のプロ」として知られる守屋実さん。1992年に新卒入社した機械部品専門商社のミスミ(現・ミスミグループ本社)で新規事業部に配属されて以来、一貫して新規事業の立ち上げを手掛けてきました。

ミスミで10年間、同社創業者で当時社長だった田口弘さんと共に立ち上げたエムアウトという起業専業企業で10年間、その後独立して10年間。ひたすら新規事業の立ち上げをやってきました。同時並行で全く異なるプロジェクトを動かし、ある事業が失敗したら別の事業を立ち上げ、軌道に乗ったらその事業は売却してまた新しい事業を立ち上げる。それだけを30年間やり続けてきました。

――起業のスペシャリストのキャリアを歩もうと思った理由は。

「日本には新規事業の専門家がいないから新しいビジネスがなかなか立ち上がってこない」という田口さんの問題意識がきっかけです。日本の企業では、新規事業を立ち上げて軌道に乗せた人はその事業の責任者となり事業開発の現場を離れ、失敗すると二度とチャンスが巡ってこない組織がほとんど。これを繰り返していると、新規事業を手掛ける人は常に起業の素人ということになります。そこに疑問を感じていた田口さんが、僕に「永遠に新規事業だけをやれ」というミッションを与えたのです。

――新入社員でありながら、新規事業を担当することに戸惑いは?

学生時代に起業経験はあったのですが、最初は苦労しました。ある時は高齢者の訪問歯科医療の事業を立ち上げながら、同時にキャリア女性向けのアパレル事業の開発をしたり。当初は失敗の連続でしたが、量稽古を重ねることで、新規事業の自分なりの「型」が身に付きました。

例えば、僕は自分の仕事を知ってもらうために、年齢を使った数式(下図)で自己紹介します。これまで手掛けた企業内起業の数(17)と、独立起業の数(21)、週末起業の数(14)を足すと自分の年齢(52)になるというものです。自分のキャリアを可視化する数式です。

新しいサービスや商品を顧客に届けるには、その価値を可視化し、キャッチーな言葉で伝え、強く印象付けることが重要です。それは事業の担い手も同じ。自分の強みを瞬時に理解してもらえるツールを持っておけば、結果として様々なチャンスが巡ってくるようになります。

――30年のキャリアで積み上げた起業のノウハウや心得を記した書籍『起業は意志が10割』を5月に刊行しました。起業で最も重要なのは「意志」だと説いています。

起業や新規事業は、「何としても挑戦したい、やり遂げたい」という強い意志を持って臨まなければ動き出しません。事業立ち上げの過程では、思った通りになることはほとんど、いや全くないといっていい。想定外とつまずきの連続です。並々ならぬ強い意志と熱量がないと成功しません。

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