ペルーで猛威、コロナのラムダ株 今わかっていること

ナショナルジオグラフィック日本版

2021年7月7日、ティティカカ湖のウロス島(ペルー南部プーノ)の住民に新型コロナウイルスワクチンを接種しに行くペルーの医療従事者(PHOTOGRAPH BY CARLOS MAMANI, AFP VIA GETTY IMAGES)

新型コロナウイルスのラムダ株は、過去9カ月間、大部分が見逃されてきた。しかし現在、ペルーでは、新たに感染する新型コロナのほぼ全てがラムダ株になっている。ペルーは新型コロナによる人口あたりの死者数が世界最悪で、すでに人口の約0.54%が新型コロナで死亡した。

ラムダ株(C.37系統)は2020年8月にペルーで初めて確認され、ラテンアメリカを中心とする29カ国に広がっている(編注:厚生労働相は21年8月6日、ラムダ株を国内で確認したと明らかにした)。ペルーでは新型コロナの新規感染におけるラムダ株の割合が、20年12月には0.5%未満だった。ペルーのウガルテ保健相は、21年3月末から4月にかけて感染の「第2波」が起きたことについて、ラムダ株が原因だった可能性が高いと記者会見で述べている。

隣国のチリでは、ウイルス情報のデータベースであるGISAIDのデータによると、過去60日間に調べられた症例の25%がラムダ株によるものだった。チリでは人口の58.6%が2回のワクチン接種を終え、さらに10%が1回目の接種を済ませているにもかかわらず、多数の感染者が出ていた。主に中国科興控股生物技術(シノバック・バイオテック)製の新型コロナワクチン「コロナバック」が接種されているが、ワクチンの効果が十分でないことも原因の一つかもしれない。チリ大学の研究によると、コロナバックの1回目の接種後の効果はわずか3%だったが、2回接種した場合は56.5%に上昇したという。

「チリの感染率が高い理由はまだわかりませんが、いくつかの要因が考えられます。チリはワクチン接種率が高く、規制の緩和が少し早すぎたため、感染者が増えたのではないでしょうか」とペルー、ペルアナ・カジェタノ・エレディア大学の微生物学者パブロ・ツカヤマ氏は述べる。氏は21年1~3月に寄託されたサンプルの塩基配列を調べていたとき、チリでのラムダ株の広がりに最初に気づいた。「とはいえ、現在主に流行しているガンマ株(ブラジルで初確認)とラムダ株に、ワクチンによる保護効果を低下させる免疫逃避の能力がある可能性もあります」

免疫を逃れる可能性があることから、世界保健機関(WHO)は6月14日にラムダ株を「注目すべき変異株(VOI)」に指定した。VOIに指定されるのは、ウイルス遺伝子の大きな変化によって、広まりやすさ(伝ぱ性)、重症度、免疫逃避、診断、治療に影響を与える可能性があり、地域社会で急速に広がっている変異株だ。

ラテンアメリカの人口は世界の8%にすぎないが、21年6月までの累計で、新型コロナ感染者数は全世界の20%以上、死者数は32%を占めている。現時点での死者数の割合でも、ラテンアメリカは世界の半分を超えているものの、ワクチン接種を完全に終えたのは10人に1人だけだ。ホンジュラスやグアテマラなどでは、接種完了率は1%にも満たない。

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