2021/8/7

興味深いことに、テストに合格しなかった33匹のうち18匹もボーダーコリーだった。この犬種が必ずしも優秀というわけではないことを示しているとフガッツァ氏は指摘する。

このような才能の差は人間にもあるため、イヌは、何が動物にこうした才能をもたらすのかを見極める手がかりになるかもしれないとフガッツァ氏は考えている。

「一握りの才能ある人々が歴史の流れを変えてきました」とフガッツァ氏は話す。「なぜモーツァルトやアインシュタインのような人はこれほど少ないのでしょう? 遺伝、環境、それとも練習でしょうか? 才能の起源を研究するためのモデルとして、イヌを活用できるのではないかと私たちは考えています」

この疑問の答えを探るため、研究チームはさまざまな犬種の遺伝子と歴史を追跡し、賢いイヌが誕生する要因を特定する計画を立てている。

ボーダーコリーは牧羊犬としての訓練を受けているため、名前を覚えることに慣れている可能性はある。牧羊犬は人の口笛や言葉に注意を払うことを求められる。

優秀の定義

また、何をもって「知能が高い」とすべきかについては、慎重に判断すべきだという指摘もある。

「言葉を覚えることが得意なイヌもいれば、ごみ箱から食べ物を取り出すことが得意なイヌもいます」と話すのは、米オレゴン州立大学でイヌの認知力を研究するモニク・ユーデル氏だ。「しかし、私たちには偏見があるため、前者のみが優秀と評価されるかもしれません」。なお、氏は今回の研究には関わっていない。

ただし、ユーデル氏は次のように言い添えている。「ほかのイヌより早く、より良く、異なる方法で、あるいは、より巧みに何かを覚えるイヌがいることは確かなようです。そして、これは探求の価値がある疑問です」

(文 VIRGINIA MORELL、訳 米井香織、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2021年7月17日付]

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