コーポレートガバナンスコードも出世の指針 注目点は20代から考える出世戦略(114)

経営層への出世のヒントは、コーポレートガバナンスコードにも隠されている =写真はイメージ
経営層への出世のヒントは、コーポレートガバナンスコードにも隠されている =写真はイメージ

仕事ができる人が経営層になれると思われがちですが、今どきは経営層同士のバランスも重要です。東京証券取引所が定めているコーポレートガバナンスコードを参考にしながら、経営層に出世するための指針を考えてみましょう。

透明性が経営の大前提

2021年6月に改訂された、東京証券取引所によるコーポレートガバナンスコードは、22年の証券取引市場再編を前に多くの企業で真摯に研究されています。特に最上位市場として定義されているプライム市場に適合できるかどうかは、多くの上場企業の課題となっています。その判断基準は「流通株式数」「流通株式時価総額」「売買代金」「流通株式比率」などと言われておりますが、ここではあえてそれらの基準には言及しません。

重要なことは、なぜコーポレートガバナンスコードが改訂されるのか、という本質であり、その基準は私たちビジネスパーソンが目指すキャリア指針となりうるということです。

コーポレートガバナンスコード改訂の目的を端的に言えば以下のように整理できます。

コーポレートガバナンスコード改訂の目的
 
・取締役たちが、株主の「利益を得る権利」を守るために、株主以外のステークホルダーたちと協働すること
・そのために、隠し事のないよう経営の透明性を確保し、適切なリスクテイクによる企業価値向上を目指すこと

経済学におけるプリンシパル・エージェント理論に立ち戻ってみれば、株主と経営層との間には常に情報の非対称性という課題があります。それはたとえば、経営層は会社が傾きそうだと知っていても、それを株主に隠している間は株が売買され続けるかもしれない、ということでもあり、逆に会社が一気に成長しそうだ、というときにもそれを秘密にしておけば、限られた関係者で利益を獲得できるということでもあります。インサイダー取引という規制はありますが、多かれ少なかれ、情報を知っているかどうか、ということが課題となります。

それらの前提を踏まえ、あくまでも私見ではありますが、今回のコーポレートガバナンスコード改訂の目的は、大きく2つに集約できると考えています。

第一に「透明性」の確保です。情報の非対称性を解消するために、取締役たちがこっそり内緒のことをしないようにするための規制です。ただし規制しても抜け道はあるので、もっと具体的な基準で透明性を担保しようとします。それが「取締役の多様性」「取締役の独立性」であると考えます。

つまり、取締役たちがグルになって情報を隠そうとしても、多様性があればそこで意見が分かれるし、独立性があれば隠そうとする行為に対して反発するだろう、ということです。

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