「経営」の実績がなくても、専門領域を生かして就任

このように、実績を持つ経営者がセカンドキャリアとして社外取締役に収まるだけでなく、事業会社のマネジメントクラスが会社勤務を続けながら、「視座を高める」「キャリア構築」「セルフブランディング」といった目的から社外取締役を務めるケースが増えています。

そして、経営全般の経験はなくても、その人が得意とする専門領域が企業側の課題とマッチしていれば、社外取締役として招かれています。たとえば、「ファイナンス」「M&A(合併・買収)」「アライアンス」「商品開発」「新規事業開発」「組織・文化作り」「人事」「海外展開」「ダイバーシティ」「SDGs・CSR」など。また、最近では「デジタルトランスフォーメーション(DX)」の知見へのニーズも高まっています。

このほかにも、職業柄、多くの経営者と常にコミュニケーションをとり、最新のビジネスや組織マネジメントのトレンドをキャッチアップしているような人も、社外取締役候補の対象となります。実際、転職エージェントという立場で多くの経営者とお付き合いをさせていただいている私自身も、複数のスタートアップの社外取締役や顧問を務めています。

社外取締役の仕事は、月1回程度の取締役会への出席、株主総会への出席。このほか、企業によってはプラスアルファの依頼もありますが、拘束時間はそれほど長くありません。

だから、本業を持ちながら副業的に務めることも、あるいはフリーランスや小規模企業の経営者が兼務することも可能です。実際、ビジネスパーソン側から「キャリアパスの一環として社外取締役の経験をしてみたい」との意向を聞くケースも増えてきました。

視座を高め、「経営」のセンスを身に付けるためにも、新たな人脈を築くためにも、キャリアの選択肢の一つとして社外取締役は有効だと思います。ちなみに、私としては、より自由に発言ができ、より影響力を与えやすいという点で、未上場企業の社外取締役を経験することをお勧めします。キャリアアップにつながるだけでなく、自身が目指す世界観を実現するという意味でも、経験する価値があると思います。

一方、企業側も自社社員に活動制限を設けず、社外取締役として積極的に社外へ送り出してあげてほしいと思います。他業界・他社の意思決定に関わる経験によって視野が広がり、自社にも良い形でフィードバックされるはずです。

※「次世代リーダーの転職学」は金曜掲載です。この連載は3人が交代で執筆します。

森本千賀子
morich代表取締役兼All Rounder Agent。リクルートグループで25年近くにわたりエグゼクティブ層中心の転職エージェントとして活躍。2012年、NHK「プロフェッショナル~仕事の流儀~」に出演。最新刊「マンガでわかる 成功する転職」(池田書店)、「トップコンサルタントが教える 無敵の転職」(新星出版社)ほか、著書多数。

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