嫉妬することなく自らの原動力に

活躍する人物から刺激を受け、それを自分自身に還元し、正当な原動力に変換させるのです。逆に、羨ましがったり妬んだりしかできないようであれば、その人の成長はそこまで、今後も更新されることはないでしょう。

ある刺激を正当な原動力に変えたという、以下のようなエピソードをデイリースポーツのネット記事で読みました。

吉田さんが『HERO』の出演で一躍、有名になる3年前の11年のこと。この年に開催された『第34回日本アカデミー賞』の授賞式をバーのテレビで見ていた吉田さんは、深津絵里さんが『悪人』(10年公開)で最優秀主演女優賞を受賞した場面で、隣にいた男性からどんな気持ちか尋ねられた際、「いつかはここに立ちたい」と、初めて思ったそうです。

それまでなかった欲が生まれ、以降は日々記している「感謝帳」に「いつか日本アカデミー賞で最優秀助演女優賞を取れますように」と書くようになり、自分事として捉えられるようになった――。そんな変化が起きたとか。

このエピソードからも吉田さんが、活躍している同業者に対して羨ましがるだけでなく、また、妬んだりするためにエネルギーを費やすこともなく、前向きな刺激を自分事としての原動力に変換させたことがわかります。

このように、どの仕事や職業においても、成功者から得た刺激を原動力に変換させられるかどうか。それが、その後、自分自身が躍進するための更新力を発揮できるかどうかの分かれ道となります。

「達成感はいつ感じられるのか?」と問い続け、更新し続ける道を歩んでいる吉田さんは、今後も様々な役柄と表現力で、私たちを楽しませてくれることでしょう。

映画やテレビドラマの作品を通して、吉田さんがどのように自身を更新していくのか――。それを確認しつつ、日々、私たちも前向きになれる刺激を探し、その刺激を自分自身の原動力に変換させることを意識していきたいものです。

鈴木ともみ
 経済キャスター。国士舘大学政経学部兼任講師、早稲田大学トランスナショナルHRM研究所招聘研究員。JazzEMPアンバサダー、日本記者クラブ会員。多様性キャリア研究所副所長。地上波初の株式市況中継番組を始め、国際金融都市構想に関する情報番組『Tokyo Financial Street』(STOCKVOICE TV)キャスターを務めるなど、テレビ、ラジオ、各種シンポジウムへ出演。雑誌やニュースサイトにてコラムを連載。近著に「資産寿命を延ばす逆算力」(シャスタインターナショナル)がある。

「鈴木ともみの気になるハナシ」の記事一覧はこちら