リンゴ・スター最新アルバム 豪華な共演、Zoomも活用特集 ビートルズ4人の「新譜」(2)

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解散から約50年がたった今も人気が高いビートルズ。そんな彼ら4人それぞれの「新譜」が、2020年から21年にかけてそろって発売されると話題になっている。

前回のポール・マッカートニー(『ビートルズ4人が「新譜」 ポールは全英1位全米2位』)に続いて取り上げるのは、リンゴ・スター。ビートルズ研究家の広田寛治氏によると、21年3月19日にリンゴが発表した新作EP『ズーム・イン』の作り方には、ソロ活動を開始した50年前と共通するものがあるという。[※特に注記がない場合、本文中の『』はアルバム名、「」は曲名を示している。]

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リンゴの新作『ズーム・イン』は全5曲収録のEPだ。自作曲は「ウェイティング・フォー・ザ・タイド・トゥ・ターン」(共作)1曲だけだが、曲ごとに異なる作曲者を起用、ソロ活動50周年にふさわしい多彩なミュージシャンが参加する、バラエティー豊かな作品に仕上げている。

リンゴ・スターの新作EP『ズーム・イン』。ソロ活動50周年にふさわしい多彩なミュージシャンが参加している

レコーディングは、新型コロナウイルスが猛威を振るうなか、20年4月から10月にリンゴのホームスタジオに少しずつゲストを招いて行われた。先行シングルの「ヒアズ・トゥ・ザ・ナイツ」(作詞作曲はダイアン・ウォーレン)では、パンデミック下のコミュニケーション手段として一気に普及した「Zoom」も駆使。ポール・マッカートニーをはじめ、シェリル・クロウ、レニー・クラヴィッツ、デイヴ・グロール(ニルヴァーナ/フー・ファイターズ)、さらにはリンゴ・スター&ヒズ・オール・スター・バンドでおなじみのジョー・ウォルシュ(イーグルス)、スティーヴ・ルカサー(TOTO)ら豪華なミュージシャンがリンゴの呼びかけに応じて参加した。「この曲は僕たちが忘れたい夜と忘れられない友人たちに贈りたい。21年にみんなのもとに愛と平和が訪れますように」と、リンゴはいつものピース&ラブのメッセージを送っている。

転機を人間力で乗りきるリンゴ

音楽活動の転機を迎えたとき、前回解説したようにポールは1人だけでつくるソロアルバムをリリースしてきた。それに対して、リンゴは音楽活動の節目節目で友人たちの手を借りてアルバムを制作してきている。

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ポールとリンゴのチャレンジ精神