映画独自のオリジナルも追加

当初、原作で描かれた100日間に後日譚(たん)を少し付けた構成で進んでいたが、コロナ禍で大幅に変更。ワニがみんなの前から姿を消した100日後からの物語が後半として追加された。

神木 原作はたくさんの人に読んでもらえているし、映画オリジナルのストーリーが加わったのは良い変化だなと思いますね。僕はワニ本人なので(笑)、精いっぱい生きたから、「僕がいなくなった後のことは、みんなよろしく」みたいな。「命は有限」っていうのは、みんなに平等にあるもの。この映画によって、そんなことを自然と意識してもらえたらいいなって思います。意識することで、普段見ている景色もちょっと変わってくると思うし。

ワニに残された人たちは大変だなと思いました。時間がゆっくりと喪失感を溶かしていくんでしょうけど、なかなかそうもいかなかったり…。時間が止まるってこういうことなんだなって。その感覚を、モグラや残された人たちがどう表現してみなさんの胸に届けることができるか。僕(ワニ)はもういなくなってるので、ある種無責任なところもありますが(笑)。

木村 (笑)。ワニは、100日という期限はもちろん自覚していなかった。でも、そのなかで彼なりに、後悔したり後悔しなかったりして生きていて。なんてことのない日もあれば、思いを寄せる先輩と話した特別な日もある。でも、大きな事件が起きてないからこそ、周りには急に彼を失ったショックがある。彼が全うした生をそれぞれがどう受け入れていくかっていう話が後半です。モグラのミッションは、ワニの死を忘れるんじゃなくて、彼が生きていた頃のように日常を進んでいくところにあるんじゃないかなって思いました。絶望から一歩踏み出し、「ちょっと前を向いてみてもいいのかな」と思うように変わったりして。。やっぱり生きてれば失うものってたくさんあるじゃないですか。大事に飲んでた牛乳を何かの拍子に…。

神木 …え、牛乳?(笑)。

木村 何かの拍子に一気に飲んじゃって、「あ、もうこれだけしか残ってない!」とか。フリスクを最後に全部出しちゃったとか(笑)。そういうのも小さな意味では失っていくことだと思うので。

神木 そうだよね(笑)。

木村 あるのが当たり前で意識してなかったけど、その当たり前こそが大事なんだなってことを、この作品で感じてもらえればなって。

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「死ぬ前に絶対に仕事を辞めたい」
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