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若手醸造家の増加や温暖化も背景

グラウブルグンダー(ピノ・グリのドイツ語名)から造られた「フランツ・ケラー グラウブルグンダー オーバーベルゲナー・バスガイゲ・エアステ・ラーゲ2017」(3190円)は、小気味よい酸味とミネラル感が持ち味で、蒸し料理にはぴったり。厚みのあるボディーも食中酒向きだ。グラウブルグンダーは、ドイツではリースリングに次ぐ高級白ブドウ品種として人気が出ており、質の高いワインが次々と生まれている。

フランツ・ケラー グラウブルグンダー オーバーベルゲナー・バスガイゲ・エアステ・ラーゲ2017

ドイツではかつて、辛口の白ワインに甘いブドウジュースを添加し、中甘口に仕上げた低価格のワインが盛んに生産・輸出され、ドイツワインの代名詞ともなっていた。甘くするのは、未熟なブドウの酸っぱさや苦さを隠す狙いもあった。中甘口ワインは、ピーク時には輸出全体の約6割を占めていたが、1980年代ごろからの世界的な辛口ワイン人気の高まりに伴い、生産量が激減。中甘口ワインの生産に重宝されていた白ブドウ品種ミュラー・トゥルガウの作付け量は現在、80年代の半分以下に落ち込んでいる。

代わって注目を浴びたのが、リースリングやグラウブルグンダー、ヴァイスブルグンダー(ピノ・ブランのドイツ語名)から造る辛口白ワインや、シュペートブルグンダー、ドイツ固有の品種ドルンフェルダーから造る辛口赤ワイン。赤ワイン用黒ブドウ品種の作付け割合は、80年には全体の約1割にすぎなかったが、現在は4割前後に増えている。

ドイツワインの質向上の背景には、栽培・醸造技術の向上や、耕作放棄地を活用してワイン造りに乗り出す若手醸造家の増加がある。同時に、地球温暖化で、ブドウがよく熟すようになった影響も見逃せない。

とはいえ、ドイツワインの関係者によると、温暖化の影響は口に出さないようにしているという。温暖化による異常気象で、命を失ったり、生活が脅かされたりしている人たちがいる中で、温暖化の恩恵を喜ぶのは不謹慎だからということらしい。いかにも環境大国ドイツらしいエピソードだ。

ワイン造りは自然環境に大きく左右されるだけに、自然環境と常に真摯に向き合うドイツの国民性が、ワインの目覚ましい質の向上につながっているのかもしれない。

ワインズ・オブ・ジャーマニーによるおすすめドイツワイン30選は同組織の公式サイト(https://www.winesofgermany.jp/)で見ることができる。

(ライター 猪瀬聖)

※商品の価格は希望小売価格(税込み)、画像はワインズ・オブ・ジャーマニー提供


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