いずれにせよ、仕事の選択基準をお金だけで考えていたのです。希望通りの報酬であれば、やりがいは後からついてくると思っていたけれど、いざ転職してみたら、やりがいの方がもっと大事だったと気づいてしまったのです。でも、それは後の祭り。転職先をたった半年で辞め、すぐに別の転職先を同じような好条件で見つけることは簡単ではありません。何か問題があったのではという印象を持たれやすいですし、特にセカンドキャリアの場合、どうしても年齢の壁があるのでなおさらです。

手取りで月約4万円の差をどう考えるか

確かに年収1000万円と聞くと、響きが良いですよね。でも実際に手元に残るお金として考えてみるとどうでしょうか。実際の年収は家族構成などをはじめとした家庭ごとの個別条件によって異なるので、あくまで概算ですが一般的に年収1000万円の人の手取り額は700万円程度。年収900円の人の手取り額は650万円程度といわれます。年間で約50万円の差。これを月で割ってみると、月々4万2000円弱です。もちろん4万2000円という金額をバカにするわけではありませんが、このくらいの年収の方にとって月々の生活の見直しで捻出できない金額ではないとも言えます。やりがいを感じて長く勤めてきた会社を辞め、全く未知の環境に身を投じる対価として、この金額が果たして妥当なのか、という視点から考えていたら、年収1000万円にこだわる考えも変わってきていたことでしょう。

年収1000万円と900万円の手取り額の差は月約4万2000円

この方は転職して環境や仕事の中身が変わるまで、やりがいというものについて改めて考えたことがなかったのかもしれません。 会社員の場合、長く勤めていると、そこで自然と身に付いた知見、スキルなどを改めて見直すこともなく時が過ぎていきます。「そもそも自分にとってのやりがいとは何か」を考えておくことは大事です。ひょっとしたら、その会社で身に付けてきたことがあるからこそ、そこでのやりがいを感じることができているのかもしれません。

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