「前頭前野」と記憶の引き出し「海馬」を鍛える3つのコツ

(写真はイメージ=123RF)

脳は刺激を与えれば鍛えられるとわかった。これからは、日常の中で脳トレ要素を組み込んで、脳の若々しさを維持したいものだ。

ここでは、年齢とともに萎縮が進む記憶の司令塔「前頭前野」の機能を高める3つのコツを篠原さんに教えてもらおう。

【コツ1】 ToDoリストには「不安」ごと書き出す

仕事のタスク管理に「ToDoリスト」を作っている人は、リモートワーク中は作り方を見直してみるといい、と篠原さんは言う。

「優先順位でToDoリストを作っていても、リモートワークでは仕事と家事がごっちゃに混ざります。優先順位で片付けようとしてもうまくいかず、いちいちやるべきことを考えるたびに脳のメモ帳が浪費されてしまう。シンプルに、時系列でやるべきことのリストを並べて、上から片付けていくほうが脳のメモ帳を浪費しないでしょう」(篠原さん)

リストを書き出すときに、気が重くなる案件もある。こんなときに前頭前野(脳のメモ帳)の負荷を減らすコツとして、「不安ごと書き出す」ことを篠原さんは勧める。

「不安傾向が高い人、また、ストレス度の高い課題ほど、前頭前野の活動は低下しやすいのです。そういう人ほど、不安を書き出すことが有効です。ぐるぐる考えても問題解決なんてできないのですから、外在化してしまえばいいのです。困った、どうしよう、という思いを外に出すと、脳のメモ帳が空いて、使いやすくなります」(篠原さん)

不安をともなうタスクほど、クリアした後に消す爽快感も高まりそうだ。

例)
上司とミーティング(やりたくない、早く終わらせよう)
取引先に連絡(緊張するなぁ。気が重い。でもやれば気持ちも軽くなる)

こんなふうに書き出すと、カウンセリングを受けたように脳の負荷が減るという。

リモートワークのコツをもう一つ。集中する場所をいくつか作る、ということだ。

会社のデスクでは集中できないのに、カフェではやたらと集中できたという経験はないだろうか。「同じ場所で記憶するより、場所を変えて記憶するほうが記憶効率が高まる、つまり海馬の働きが良くなることがわかっています。自宅内でも、リビングやソファなど仕事の場を複数用意しておくとはかどります。環境的に難しい場合は、机の角度を変えるだけでも景色が変わり、海馬の働きが高まるはずです」(篠原さん)

【コツ2】 心を込めて家事をする

「前頭前野は年齢とともに衰えやすいので、ここを活性化するには、あえて新たなことや、ややこしいことに挑戦することが必要です」と篠原さん。

手作業やものづくり、楽器演奏などは脳の前頭前野を活性化する代表的な行動だという。また、気持ちを込めることも効果的。「キャベツの千切りも、心を込める場合と込めない場合で比較すると、心を込めたほうがより前頭前野が活性化していました」(篠原さん)

また、料理や掃除も、複数のことを同時並行する「デュアルタスク」を心がけると前頭前野が活性化する。昨日より丁寧に仕上げる、10分以内に終える、といったミッションを自分で作り出してゲーム感覚で取り組んでみよう。

【コツ3】 ぼーっとする時間を意識的に作る

忙しくて疲れがたまっているときこそ、脳はぼーっとする時間を必要としている。

「自然の中を歩いたり、森や湖など自然の写真を見たりするだけで前頭前野の機能が増すという報告があります。刺激に満ちた環境にいると脳はストレスにさらされますが、自然に接すると脳が休まり、かえって機能回復するのです。また、ぼんやりしているときには、脳の記憶を統合し、ひらめきを導き出す“デフォルトモードネットワーク”という部位も活性化します」(篠原さん)。散歩をする、ゆっくり入浴するといった「なにも考えない時間」を大切にしよう。

さらに、コロナ禍の現在はより積極的に、ぼーっとする時間を確保したほうがいいようだ。「リアルな会議では、資料を見たり、ぼんやりどこかを見つめたりする時間があったはず。しかし、オンラインでは画面を直視するカメラ目線が要求されます。人は目と目が合うと本能的な恐怖感を覚え、不安や恐怖をつかさどる脳の扁桃体の活動が高まり、ストレスが高まるのです」(篠原さん)。オンライン会議のときには、カメラからは適度に視線を外すことも脳のストレス低減につながるようだ。

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