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2021/7/2

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海外と違い、日本での完全天日塩づくりは室内型が主流

完全天日塩の産地に共通する条件は、海岸沿いで平たんかつ広大な地であることがまず一つ。次に年間を通し、温暖な気候であったり、雨期と乾期が比較的はっきりしてたりすることである。その点、日本は不利である。年間を通じ降雨量が多く、雨期と乾期の区別も明確ではない。塩田に海水を引き入れ、濃縮し結晶化を待つ間に、雨にたたられ、台無しになることだってある。

島国で、海に面している場所が多いため、塩田作りに向いているのでは、と思われがちだが、沿岸で平坦で砂や土で構成されたエリアはそう多くない。海外と比べ、国産の完全天日塩が少ない理由は、そこにある。

日本では天日による濃縮工程は3種類ある。揚浜式塩田と入浜式塩田、それに枝条架式塩田だ。塩田という名が付いているが、海外のように海水を引き込み、長期間待つ方式ではなく、短期間で海水を濃縮させるため、人手をかけて、工夫を凝らしている。

揚浜式塩田と入浜式塩田では、まず砂地で作った塩田に海水を浸透させ、天日にさらして乾燥させる。その後、塩がくっついた砂を人力で集め、そきに海水をかけてこし、濃い塩水を作る。ため池に海水を入れる海外の方式に比べ、早く濃縮させることができるが、海水をまいたり、砂を集めたりとそれなりに労力がいる。

枝条架式塩田では、竹の枝を高さ3~10メートルくらいのタワー状に組み、そこに海水をかけ流し、濃縮海水を得る。揚浜式塩田や入浜式塩田より省力化しているが、晴天が続くタイミングを狙ってしか作業ができないため、制約がある。だから、手がける人は多くない。

日本での完全天日塩の結晶工程は、基本的に室内だ。透明なビニールやガラス等で囲ったハウスに、風通しのための開閉式窓を設置。そこに濃縮海水を入れた箱をずらりと並べる。

箱の大きさや素材は生産者ごとにまちまちだが、大きいもので幅60センチ×長さ100センチ×深さ15センチほど。そこに濃縮海水を約3~5センチくらいの高さまで入れ、太陽と風の力で塩を育てる。日本における完全天日塩づくりは、非常に手間がかかり、小規模でしか行えない実情がお分かりいただけるだろう。筆者が知る限り、厳密にこの手法で行っている製塩所は国内に30箇所ほどしかない。

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