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飲みたい日は食事を減らすのも、たまにはOK

また、久住さんによると、アルコールを飲み過ぎると肝臓で過剰に中性脂肪が合成され、これも肥満の原因にもなる。「中性脂肪の値が高くなると、肥満だけでなく、動脈硬化や心筋梗塞など、さまざまな病気のリスクも上がります。その予防のためにも、飲み過ぎには気をつけなければなりません」(久住さん)

では、太らないようにするためには、どんな飲み方をしたらいいのだろう。「飲み過ぎないこと」と言われるのを承知で久住さんに聞いてみた。

「お察しの通り、飲み過ぎないことがベストです(笑)。昨今の研究で『アルコールは少量でもがんなどのリスクを上げる』ことが報告されたので、実は適量というのもありません」(久住さん)

やはりそうか……。少量の飲酒でもがんなどの病気のリスクが上がることについては、過去の連載でも紹介している(参考「酒は百薬の長のはずでは? 少量でもNGの最新事情」)。

「といっても、お酒が好きな方は、たくさん飲みたいときもありますよね。太らないように飲むには、お酒もカロリーがあると認識して、トータルのカロリーをコントロールすることです。つまみに低カロリーで高たんぱくな魚や、納豆などの大豆加工品、大根やきゅうりなど歯ごたえのある野菜を選ぶと満足感が得られます。また、『今夜は飲むぞ』と思ったら、朝と昼はぐっと控えめにしてもいいですよね」(久住さん)

がっくりと肩を落とす筆者に向かって、久住さんはうれしいアドバイスをしてくれた。

「ビールとピザ」の組み合わせは、肥満予防の観点からは最悪!?(写真=123RF)

逆に最悪の飲み方・食べ方を聞くと、「ビールとピザ」と久住さんは即答。ジャンクフード好きの酒飲みにとっては最高の組み合わせなのだが、これは肥満まっしぐらコンビのようだ。

そうは言っても、毎晩節制していたらストレスが爆発してしまう。それこそ自棄(やけ)飲みしてしまいそうだ。

「たまにはやらかしてもいいんです。3日間単位で食べるもの、飲むものを調整し、体重をコントロールすればいいのです。そのためには毎日、体重計に乗ることが大切。『昨日食べ過ぎたし、体重計に乗りたくない』と思うときこそ、乗ってください。前日よりも500g以上増えていたら食べ過ぎ、飲み過ぎの証拠。『500gくらいは誤差』とおっしゃる方がいますが、体重計はウソをつきません。増えた分を減らすようにコントロールしていきましょう」(久住さん)

み、耳が痛い。500gどころか、「1kgくらいは誤差」と思うようにしていた。また、寝る直前に飲み食いするのもなるべく避けたほうがいいという。

「ベストは『小腹がすいた』と思うくらいの空腹感で、お酒が抜けた状態で寝ることが望ましい。満腹の状態で寝てしまうと胃酸の逆流が起こりやすく、逆流性食道炎のリスクも高まります。また寝る前の飲酒は、夜中に目が覚めやすくなるため、睡眠の質を下げます。睡眠の質が下がると、翌日に疲れが残り、疲れを紛らわそうと、“快楽物質”として酒が恋しくなるという悪いサイクルに陥りやすくなります」(久住さん)

最後に、太らないようにするためには、やはり運動も重要だという。

「お酒の飲み過ぎで太ってしまう方は、生活の中で体の活動量と摂取カロリーとが釣り合っていないという事実があります。アルコールでカロリーを摂取する分、運動してカロリーを消費するよう心がけましょう。ダイエットというとウオーキングやジョギングなどの有酸素運動を思い浮かべる人も多いですが、筋肉量が減ると太りやすくなるので、腕立て伏せ、腹筋(クランチやシットアップ)などの筋トレも行いましょう。運動にはストレスを軽減する効果もあるので、ストレスからくる飲み過ぎの予防にも効果的です」(久住さん)

実に基本的だが「消費カロリー < 飲み食いしたカロリー」を続けている限り、やせることはまずない。それどころか“巨大化”へ一直線である。

まずは「酒はエンプティカロリーではなく、どんな酒でも太る」ということを認識し、久住さんの「体重計はウソをつかない」を心に刻み、今日から食べ方・飲み方を見直してみよう。

(文 葉石かおり=エッセイスト・酒ジャーナリスト)

[日経Gooday2021年6月7日付記事を再構成]

久住英二さん
ナビタスクリニック理事長、内科医師。医療法人社団鉄医会理事長。1999年新潟大学医学部卒業。内科医、とくに血液内科と旅行医学が専門。虎の門病院で初期研修ののち、白血病など血液のがんを治療する専門医を取得。血液の病気をはじめ、感染症やワクチン、海外での病気にも詳しい。現在は立川・川崎・新宿駅ナカ「ナビタスクリニック」を開設し、日々診療に従事している。

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