――道路は税金でつくり無料公開するのが原則です。高速道路も借金を返済し終えたら、2065年以降は無料開放することになっています。

「江戸時代は関所があり、人々は自由に往来できなかった。明治維新で誰もが自由に往来し、ビジネスなどをできるようにするという考え方が生まれた。交通政策の根本には、国民の移動の自由は保障しなければならないという思想、意識がある」

――その無料開放の原則を転換し、永久有料にすることが議論されています。

「永久有料はかねて議論あるが、何を目的にするかがポイントだ。一つは『高速道路は一般道よりサービスがよいのだから特急料金のような形で料金をとるのはよい』という理屈だ。もう一つは借金を返し終わっても維持管理費はかかるため、その分を料金として取り続けるという考え方だ。私は維持管理コストがかかるし、高いサービスを利用できるのだから有料でよいと思う」

「永久有料にすると、償還期間が延び、毎年の返済額が減るため、足元の料金を下げられるという人もいる。移動の自由を保障するため、移動にかかる時間やコストを下げるのは交通政策の基本的な考え方ではある。ただ今の低金利が続いたとしても1割下げられるかどうかだ。永久有料にすると固定資産税を支払わなければならなくなることもあり、料金が下がる可能性はかなり低い」

――移動の時間を短縮する観点では、全国14000キロメートルの高速道路計画をどこまでつくるかも議論になりますか。

「高速道路ネットワークの幹になるところはある程度、整備が進み、今は未完成の『ミッシングリンク』をつなぐところに来ている。理念としてネットワークをつなぐことが重要だというのはあるが、幹が完成しているため地域の政策に移行している。高速道路をどこまでつくるか、かつてのように政治が決める必要がなくなり、財源を工夫して少しずつつくっている。永久有料の議論が出てくるのは、そうした環境の下で投資余力を出す狙いがあるのかもしれない」

14000キロメートルの高速道路計画をどこまで造るかの議論も必要だ(新名神高速道路の箕面とどろみIC、大阪府箕面市)

「だが、永久有料は軽い課題ではない。道路の無料公開の原則をどうするか、移動の自由をどうするか、道とはいかなるものか、道路と国家との関係はどのようなものか、といった根本的な議論を時間をかけて深めていくことが必要だろう。永久有料はこうした思想的な意味でも難しいものがある」

――永久有料は早くても65年からで、まだ40年あまり先の話でもあります。

「永久有料を今、具体的に議論しようとすると遠い将来の空疎な議論になってしまう。だが、混雑時に料金をたくさん払うべきかという負担の議論が国民の間でなされ、その裏にある、道路はどうあるべきか、料金はコストに応じて決めるのか、需要に応じて決めるのか、といった課題について国民の理解が深まった先には、一つの可能性として、永久有料もありうるかもしれない」

(編集委員 斉藤徹弥)

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