芸大美術学部の思考に迫る アートを仕事に生かすにはリブロ汐留シオサイト店

メインの平台上部の面陳列棚に展示する(リブロ汐留シオサイト店)
メインの平台上部の面陳列棚に展示する(リブロ汐留シオサイト店)

ビジネス街の書店をめぐりながら、その時々のその街の売れ筋本をウオッチしていくシリーズ。今回は定点観測しているリブロ汐留シオサイト店だ。最初の緊急事態宣言明けだった1年前に比べると、売り上げはプラスで推移しているが、例年のようにはいかない。ただ、洋書の特売フェアなど企画を仕掛けると反応が出るなど、書店で本を買う習慣は都心ビジネス街の店舗にも徐々に戻っているようだ。そんな中、書店員が注目したのは、東京芸術大学美術学部での学びについて多様な角度から分析を試み、アートをビジネスに生かすヒントを探った一冊だった。

著者は企業向けアート講座で起業

その本は増村岳史『東京藝大美術学部 究極の思考』(クロスメディア・パブリッシング)。著者の増村氏はビジネスパーソンや企業向けにアートやデザインを通して脳を活性化し、新たな知覚と気づきの扉を開くプログラムを開発、その講座を展開する会社を立ち上げた元リクルートの起業家だ。その講座づくりや運営の過程で著者は多くの芸大出身者と出会い、その出会いをきっかけにして本書が生まれた。

東京芸大美術学部は入試とはどのようなものか。そこではどんな素質が見いだされるのか。学部や大学院ではどんな時間を過ごすのか。芸大出身者でビジネスの世界で活躍している人はどんな人なのか。こうした疑問を当の出身者たちへのインタビューを軸にあぶり出し、アート思考の本質とは何か、アートをビジネスに生かすとはどのようなことなのかといった問いに著者なりの考えを示していく。

東京芸大美術学部の入試は「傾向のない超難問入試」だという。2020年度の第2次実技試験ではただ「絵を描きなさい」。カンバス、スケッチ用紙は教室から持ち出せないなど3つの条件がつく。19年度は「世界に目を向ける」「世界を見通す」「世界を移す」という言葉が英語付きで示され、「枠内の言葉をテーマに描きなさい」。18年度は「(台の上に置かれた)モチーフを描きなさい」。

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