カツがなくてもカツカレー? 海を渡ったがっつり飯

2021/6/12

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がっつり食べたいときにはやっぱり「カツカレー」!(写真はPIXTA)
がっつり食べたいときにはやっぱり「カツカレー」!(写真はPIXTA)

おなかが空いたときに食べたい、ボリュームたっぷりの料理、いわゆる「がっつり飯」の代表として「カツカレー」をあげる人は多いのではないだろうか。「トンカツ」と「カレー」、それだけで「主役」を張れる2つが「豪華共演」するのだから、おいしくない理由が1つも見つからない。この、なんとも魅惑的なコラボは今、欧米を中心に海外でも人気だそう。

中には、独自の解釈やアレンジが加えられて、日本で普及しているカツカレーとはほど遠いものもある。ツイッター上ではそれらを摘発する「#カツカレーポリス」というハッシュタグもあるほど。今回はオーストラリアとイギリスに住む日本人に、現地のカツカレー事情について聞いてみた。

カツカレーとは説明するまでもなく、トンカツ、すなわち豚肉にパン粉をつけて揚げたものがカレーライスの上に乗っかった料理である。サクサクジューシーなカツにスパイシーなカレーのソースとご飯の組み合わせ、「考えた人、天才!」と思った人も多いのでは?

「発祥」「元祖」にはいくつか説があるが、そのうちの1つは東京・銀座の洋食店「銀座スイス」。「カツカレー発祥の店」とみずからうたっており、同店ホームページの「当店の歴史」というコーナーの中に経緯が詳しく書かれている。

それによると、この魅惑的な組み合わせを考えたのはシェフではなく当時の現役プロ野球選手。1948年、常連客であった読売ジャイアンツの故・千葉茂さんの一言により生まれたものという。

「とある巨人・阪神戦の前、おなかがすいてたくさん食べたいし、早くも食べたい、ガツンといっきに食べたく思いついたのが、『カレーライスにカツレツを乗っけてくれ!』だったのです。言われた当店はビックリです! 今ではトッピングは普通ですが、当時、カレーライスに何かを乗せる発想は無かったのです」(同店ホームページより)。

この2つは千葉選手の大好物であり、特にカツレツは「勝負に勝つ(=カツ)」に通じることから試合前によく食べていたという。

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ジャパニーズカレー=カツカレー