梅雨コーデの極意は「機能」と「素材使い」

――梅雨用の雨具とキャンプウエアを兼用したいという人も多いと思います。1つのアイテムを幅広いシーンで着こなすコツはありますか?

「キャンプ用・街用と分けるのではなく、どちらにも着ていけるようなコーディネートを意識しましょう。防水・透湿機能を取り入れるのはもちろんですが、その機能性を前面に出しすぎないようにするのがコツです。例えばトップスにレインウエアを着るなら、ボトムスにはコットン×リネンのパンツをはく、といった具合です。天然素材のアイテムを取り入れて、全体の印象のバランスを取るといいですよ」

「自分自身のサイズ感にルールを作ることで、天候や目的地が変わっても焦らずコーディネートを組めると思います。例えばトップスはやや大きめでボトムスは太めのストレートシルエット、という具合です」

――梅雨のコーディネートで気を付けるべきポイントはありますか?

「ハーフ丈のイージーパンツやTシャツなど、今の時期に選びがちなアイテムはカジュアルな印象を与えるものが多いです。取り入れる際は、黒のシューズや革靴を履いて足元で全体を引き締めるといいですね。楽をしつつも、楽をしているように見せないように」

高機能ポンチョで完全防備 素材や配色でバランスも

――今回は梅雨用のコーディネートを3組用意してもらいました。まずは丈の長いポンチョを使った着こなし。白やグレーを中心に用いた、統一感のある色使いです。

「今の時期は暗い色を選びがちなので、あえて気分を高めてくれるような明るい配色にしました。ニットキャップからシューズに至るまで、同じトーンで統一しているのがポイントです。また、アウターに機能素材が使われているので、ボトムスは天然素材のものを選んでいます」

アウター 4万4000円(スノーピーク)、パンツ 2万7500円(スノーピーク)、ニットキャップ 4180円(スノーピーク)、シューズ (私物)

――素材使いでバランスをとっているのですね。まずはアウターについて詳しく教えてください。

「先ほどお話しした『2.5L』の生地を用いたポンチョです。最大のポイントは首元から裾まで伸びた2本のファスナー。開閉することで通気性を高めたり、着脱しやすくしたり、ボトムスのポケットへ手を入れたりと、様々な用途で活用できます」

ポンチョのジッパーを開けば、パンツのポケットにスムーズにアクセスできる
ガラス繊維をプリントした裏地。縫い目に施された止水テープは加水分解しにくい仕様になっている。一般的な止水テープよりも経年劣化しにくいのが魅力だ

――機能だけでなくデザインも独創的です。

「美しいAラインを描くシルエットや、立体的なフードの構造などにも、デザイナーのこだわりが感じられます。1枚でかっこよく“決まる”アイテムといえるでしょう」

――ボトムスは他ではみない独特な質感ですね。

「『馬布』という生地で作られたパンツです。もともとは乗馬の際、滑り止め用の布として、くらの下に敷かれていた生地といわれています。繊維の密度が高いため肌触りが良く、薄手でも耐久力が高いのが魅力です」

フード先端の雨よけのルーフ(ツバのような張り出し)がほかにない雰囲気を醸し出す
パンツのざらついた肌触りは天然素材ならでは。化学繊維を用いた滑らかなアウターの質感とのコントラストが秀逸だ

THE NIKKEI MAGAZINE 4月誕生!

Men's Fashionはこの4月、あらゆるビジネスパーソンに上質なライフスタイルを提案するメディア「THE NIKKEI MAGAZINE」に生まれ変わります。限定イベントなどを提供する会員組織「THE NIKKEI MAGAZINE CLUB」も発足します。先行登録はこちら

次のページ
ビジカジ対応のシャツコーデ 天然素材だけでも快適