ベインが考えるコンサルの価値 「イシュー」の見極め社会人1年目の課題図書(3)

ベイン・アンド・カンパニー日本法人で人材育成責任者を務めるパートナーの大原崇さん
ベイン・アンド・カンパニー日本法人で人材育成責任者を務めるパートナーの大原崇さん
人気企業・注目企業が新人教育で使ったり、新入社員に推薦したりしている書籍と、各社の人材育成戦略を取り上げるシリーズ「社会人1年目の課題図書」。第3回はベイン・アンド・カンパニーです。

先の見通せないVUCA(ブーカ、変動性、不確実性、複雑性、曖昧性)の時代、「早く成長できる」「転職する際につぶしが効く」などとして人気の外資系コンサルティングファーム。そのうちの一社、ベイン・アンド・カンパニーは、内定者に推薦図書を10冊程度贈っている。外資コンサルの採用選考は他の業界に先駆けて行われるため、早ければ入社の1年半前に受け取る人もいる。

ベイン日本法人で人材育成の責任者を務めるパートナーの大原崇さんが、その中から「イチオシ」として挙げるのは『イシューからはじめよ――知的生産の「シンプルな本質」』だ。著者は、慶応義塾大学環境情報学部教授で、ヤフーCSO(最高戦略責任者)の安宅和人氏。脳科学者やコンサルタントなど異色の経歴を歩み、最近では『シン・ニホン――AI×データ時代における日本の再生と人材育成』の著者としても知られる。

『イシューからはじめよ――知的生産の「シンプルな本質」』
著:安宅和人
出版:英治出版
 2010年に刊行以来、累計40万部が売れているロングセラー。エール大学脳神経科学プログラムで博士号を取得した科学者であり、マッキンゼー・アンド・カンパニーで様々な商品・事業の開発やブランド再生に関わった戦略立案のプロフェッショナルでもある安宅氏が、問題設定と解決の手法をわかりやすく解説している。

同書では、「イシュー」とは「2つ以上の集団の間で決着のついていない問題」かつ「根本に関わる、もしくは白黒がはっきりしていない問題」であると定義。それに従えば、世の中で「問題かもしれない」と言われている100の事柄のうち、「いま、この局面でケリをつけるべき問題=イシュー度が高い問題」はせいぜい2つか3つだと指摘する。そして本当に価値のある仕事をしたいなら、本当に世の中に変化を起こしたいなら、何が解くべき「イシュー」なのかを見極めることが最初のステップだと説く。

コンサルタントが「イシュー」を大事にする理由

コンサルの思考法や問題解決のフレームワークに関する本はちまたにあふれているが、なぜこの本がイチオシなのか。大原さんは言う。

「決定的な違いは、問題の解き方ではなく、解くべき課題の設定について書かれている点です。『イシュー』はコンサル業界でよく使われる言葉で、まさに『解くべき課題』のこと。それをどう見極め、どう分解・分析し、答えを出していくのかという本質を、ここまで突き詰めている本は他にありません」

大原さんによると、コンサルタントは問題をシチュエーション(状況)、コンプリケーション(状況を複雑化させる要素)、キークエスチョン(鍵となる疑問)という3階層で整理する癖をつけている。

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