N
ランキング
何でもランキング

2021/6/1

何でもランキング

若者の視点 地産地消に弾み

テレワークなどで家で食事をする機会が増え、手軽に多様な味を楽しめるレトルトカレーが人気だ。近年は高校や大学を舞台に生徒・学生が開発したカレーが目立つ。若者のアイデアや学校がもつ技術を基に、地域と協議を重ねて商品化する。今回ランクインしたカレーはいずれも半年から数年の年月を費やした産学連携の結晶だ。

若者の既成概念にとらわれない自由で斬新な発想は、時として商品化へのハードルを引き上げる。販売までに何度も挫折を味わい、思い通りに進まない歯がゆさを通して成長する姿が浮かんだ。

今回1位になった東海大学(静岡県)は当初、サクラエビとイカスミの2種類のカレーを商品にしようと取り組んだ。ところがレトルト加工すると味が落ちることが判明し、3番手の候補だったおでんに方向転換した。

上浮穴高校(愛媛県)や秋田北鷹高校(秋田県)も当初、それぞれピーマンやシシトウで菓子を作ろうと試行錯誤したが、独特のにがみに苦戦したあげく、カレーという突破口を見つけた。

海洋高校(新潟県)はシーフードや魚醤(ぎょしょう)を使うアイデアが固まったものの、材料の原価が高いことが課題になった。製造コストを設定内に収めるため、市場調査をしてメーカーと二人三脚で努力した。

カレー総合研究所(東京・渋谷)の井上岳久代表によると、学校発のレトルトカレーは2000年代から流通し始め、今では常時100種類ほどが売られているという。その多くが地元の特産品を使う。

「学校、レトルト加工メーカー、農産物の生産者、3者それぞれにメリットがある」と井上さん。学校側は机上の学問をビジネスとして実践でき、柔軟な若い発想はメーカーの商品開発に刺激を与える。SNS(交流サイト)に慣れた若者が特産品をPRすれば町おこしにもなる。

次々と新しいレトルトカレー商品が市場に生まれるなか、売れる商品を作るのは容易ではない。花咲徳栄高校(埼玉県)の会田友紀教諭はアスメシカレーの開発を振り返り、「おいしいカレー商品が既にたくさん流通するなか、なぜ自分たちがこの地域で作るのか、コンセプトを明確にする大切さを学んだ」と話す。

教育現場ゆえに利益を追求せず、ひっそりと消えた幻の学校発カレーも多い。残った商品は定番化している証拠で、味は確かと言えそうだ。

■ランキングの見方 数字は専門家の評価を点数化。商品名、開発に携わった学校名(拠点となった校舎の所在地)。(1)1箱または1袋の税込み価格の目安(内容量)(2)販売情報サイトのURL。写真は鈴木健撮影、スタイリングは島本美由紀。

■調査の方法 大学や高校が開発に関わり、取り寄せのできるレトルトカレーを、専門家への取材をもとに20種類選出。専門家が試食し、学校や生徒・学生らしさ、地域性、味の3つの観点で順位をつけ、編集部で集計した。

■今週の専門家 ▽新井一平(6curry CurryProducer)▽飯塚敦(フードジャーナリスト)▽井上岳久(カレー総合研究所代表)▽猪俣早苗(ご当地レトルトカレー協会代表)▽小野員裕(カレー評論家)▽金谷拓磨(地カレー家店長)▽島本美由紀(料理研究家)▽スパイシー丸山(カレー研究家)▽田嶋章博(カレーライター)▽富山秀一朗(昼間のトミさんシェフ)▽野口英世(料理研究家)▽松宏彰(カレーキュレーター)▽八巻宏(カレースタジアム代表)▽湯浅俊夫(カレー大学講師)=敬称略、五十音順

(松浦奈美)

[NIKKEIプラス1 2021年5月29日付]


注目記事