2021/6/11

ほかの研究者への「挑戦状」

研究者らが利用したのは、科学団体「パートナーズ・イン・フライト」「英国鳥類学協会」「バードライフ・インターナショナル」のために世界中の専門家が作成したデータセットだ。これら3つのデータを、彼らは市民科学者(今回の場合はアマチュアのバードウォッチャー)によって収集された世界最大のデータベース「eBird」と組み合わせた。

これによってわかったのは、多くの場合、専門家および市民科学者によって集められた密度や個体数の推定値は、互いに比較的似通っているということだった。続いて彼らは、広範な専門的なデータが欠如しているものを含め、そのほかの種についても、eBirdからの情報をコンピューターモデルに入力して個体数を推定した。

研究者らは、自分たちの推定には不確実な部分が大いにあることを認めている。しかし、同研究の強みの一つは、そもそもこの不確実なものを定量化し、数千種もの鳥において個体数の見込みの範囲を示していることだと、IUCNの主任研究員トマス・ブルック氏は述べている。

米コーネル大学鳥類学研究所の保護科学者ケン・ローゼンバーグ氏は、この研究を「大胆な試み」としつつ、推定値には非常に多くの変動幅と不確実性があり、データの解釈には注意が必要だと警告している。

それぞれの種についての個別の数値は信用するのが難しく、世界全体での数値はなおさらだと、ローゼンバーグ氏は言う。「この研究はまるで、ほかの研究者に向けて挑戦状を叩きつけて、この数字が気に入らなければ、もっとマシな数字を出してみろと言っているようなものです」

ブルックス氏はこの論文について、多くの鳥類種がいかに貴重な存在であるか、そして新たな脅威が出現した場合、それぞれがどれだけ危機的な状況に陥るかを明らかにしていると評価している。

「この研究は、わたしたちに自然のはかなさを教えています。わたしたちは環境と、人間がそこに与える影響に常に目を光らせておかなければなりません」

デグルート氏もこれに同意する。「保護するためには、わたしたちはある種が今どれだけいて、増えているのか、減っているのかを知る必要があります。今回の研究は、将来的に個体数を測定するうえで大いに役立つでしょう」

(文 DOUGLAS MAIN、訳 北村京子、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2021年5月19日付]

ナショジオメルマガ