愛車は「センチュリー」と「セリーヌ」

しかしそこは田村正和氏。どんなラグジュアリーブランドも田村正和スタイルに着こなしてしまうのだ。帝王ジョルジオ・アルマーニの服でさえしかり。アルマーニのたっぷりめのミドル~ハイゲージニットやマオカラーシャツに、プリーツが2つ3つ入ったたっぷりとワタリのある裾にかけて柔らかくテーパードされたパンツ。色はネイビー、黒、チャコールグレーと、モスグレーやスモーキーな明るめの色を合わせて着ていたのだとか。

着こなしはいつもノータイだった(1993年、テレビ朝日「眠狂四郎」懇親会で)

優雅なドレープを描く上質なアルマーニの服をまとって、いつもの田村正和スタイルで撮影所に愛車の黒のセンチュリーに乗ってやって来たという。ちなみに「警部補・古畑任三郎」では、事件現場に古畑任三郎がいつも乗ってやって来る愛車は「セリーヌ」の自転車というのは有名なエピソードである。

意外といえばこんなエピソードもある。デビューしたての若い頃は、松竹の青春映画「空いっぱいの涙」でヴァンヂャケット(VAN)の石津謙介氏の協力で、なんとモッズスタイルで出演してレコードデビューもしている。ただ、いわゆる英国のモッズスタイルではなく、ここでいうモッズとは「モダンジャズ」の意味。どちらかといえば1960年代のジャズマンのアイビースタイル「ジャイビー」に近い。当時の映画公開時のポスターを見ると、エレキギターを持って短めのジャケットに細身のパンツをはいた、珍しいジャイビースタイルの若かりし頃の田村正和の姿がうかがえる。

えー、もうおわかりですね。これだけは生涯ヨーロピアンコンチを貫いた田村正和スタイルにおける、唯一の黒歴史なんですう。うーん、お気持ち、お察ししますう。私が察するに、きっと田村氏は本当はそんな格好なんて絶対にしたくはなかったんでしょうねぇ。せめてVANがJUNに対抗して作ったヨーロピアンコンチの「Mr.VAN」だったらよかったんですけども。どうも、古畑いで三郎でした。

いで あつし
1961年静岡生まれ。コピーライターとしてパルコ、西武などの広告を手掛ける。雑誌「ポパイ」にエディターとして参加。大のアメカジ通として知られライター、コラムニストとしてメンズファッション誌、TV誌、新聞などで執筆。「ビギン」、「MEN’S EX」、JR東海道新幹線グリーン車内誌「ひととき」で連載コラムを持つ。

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