いつもの髪形でヨーロピアン 田村正和氏のエレガンスコラムニスト いであつし

おなじ髪形、同じスタイルがスタイリッシュ(1993年、テレビ朝日「眠狂四郎」懇親会で)
おなじ髪形、同じスタイルがスタイリッシュ(1993年、テレビ朝日「眠狂四郎」懇親会で)
記者会見でのスーツ姿、人気ドラマの主人公のファッションなど、メディアで話題にのぼる人の着こなしは気になるもの。そんな「ニュースな人」のファッションの背景にあるものとは。男性ファッションに詳しいコラムニスト、いであつし氏が解説します。



俳優の田村正和氏が亡くなられました。また1人、日本を代表する名優がいなくなってしまった。あゝ、これでますますテレビドラマを見なくなっちゃうなぁ……。

筆者の世代は田村正和氏といえば当たり役の時代劇の「眠狂四郎」よりも、やっぱり「ニューヨーク恋物語」や、コメディータッチの「パパはニュースキャスター」や、そして何といっても「警部補・古畑任三郎」である。どんな役を演じても田村正和にしてしまう役者であった。いや、むしろ作り手側が「あんな役を田村正和に演じてほしい」と思わせてしまう稀(まれ)な役者であった。

「カッコいい」「憧れ…」 ファッション界から悼む声

それはそのまま、田村正和氏の服装哲学にも言える。よく「男の着る服はファッションではなくスタイルである」と言うが、田村正和氏はまさにそうであった。いつも同じ格好、同じヘアスタイル。何を着ても、どんなブランドでも、どんな格好が流行ろうとも何々風ではなく、田村正和スタイル。正直、若い頃はそのすごさがわからずに「田村正和っていつもおんなじ髪形、おんなじ格好でダサいなぁ」なんて思っていたのだが、とんでもない。あんなにスタイリッシュな人は、そうそういない。

その証拠に田村正和氏の訃報が流れた時、SNSではファッション業界のインフルエンサーたちから、リスペクトする追悼メッセージが続々とアップされた。

ビームス社長の設楽洋氏は、グレーのジャケットの前をはだけて白いヨーロピアンカラーのシャツをノータイで着て派手なストールを首からたらしている田村正和氏の写真と一緒に「R.I.P. 何が流行ろうとヨーロピアン。何が流行ろうとコンチ! 貫くことはカッコイイ!」という追悼メッセージをアップしていた。

どんな役を演じても「田村正和」にしてしまう(1993年、テレビ朝日「眠狂四郎」懇親会で)

ファッションディレクターの干場義雅氏は「ニューヨーク恋物語」の当時の番組の宣伝ポスターと一緒に、「悲しすぎる。しばらく立ち直れない。一番、好きでした。一番、憧れていた人でした。一度でいいからお会いしてお話してみたかった。本当にショック。本当に寂しい。こんなにカッコイイ人はいなかった。ご冥福をお祈りいたします」という追悼のメッセージをあげている。

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