
3店目は東京の東急田園都市線・三軒茶屋駅から徒歩4分、人気飲食店が並ぶ茶沢通りに今年3月末にオープンした「Re.TOSCANA(リ トスカーナ)三軒茶屋店」だ。非常にユニークな店で、ランチはミートソースパスタの専門店、夜はイタリア全20州のナチュール(自然派)ワインと郷土料理を小皿で出すイタリアンバールと、二毛作で運営する(緊急事態宣言中は酒の提供を中止)。
経営母体は「日本一おいしいミートソース」が大ヒットメニューのイタリア料理チェーン「TOSCANA」やイタリアン居酒屋「東京MEAT酒場」を抱える飲食企業、イタリアンイノベーションクッチーナ(東京・渋谷)だ。
新店の「リ トスカーナ」はランチで、この「日本一のミートソース」を“御膳スタイル”で楽しめる。「鶏出汁トマトスープで食べる日本一おいしいミートソース御膳」(1280円)や「茸(きのこ)ソテーの日本一おいしいミートソース御膳」(1380円)など、アレンジを変えたミートソースパスタ7種類を提供。和の定食のように、野菜の小鉢2種をつまみながらメインのミートソースを味わい、最後はだし(鶏だしで炊いたトマトスープ)をかけて食べ切るスタイルだ。
料理が運ばれてくるとパスタの上にはミートソースがなく、見えるのは麺のみ。「この麺は古代小麦など3種の小麦を合わせた自家製の生パスタです。この麺が自慢なので、まずソースの前にパスタそのものを堪能していただきたい」(社長の青木秀一さん)
いろいろ斬新なしかけに中高年は目を白黒させてしまうが、麺もソースも美味。家庭では絶対出てこないプロのミートソースではあるが、どこか昭和の洋食も思い出される懐かしく優しい味だ。取材当日も、昭和生まれ、テレワーク中とおぼしき一人客が複数、うまそうに食べていた。男女の割合は半々くらいだったろうか。シメの鶏だしをかけてパスタをすすると、お茶漬けの郷愁も感じ、「なるほど、これは日本のミートソースの最新形なのだ」と納得した。

「日本一のミートソース、という大胆なメニュー名を付けたのは、取引する食材卸の担当者が、仕事柄様々なパスタを食べたが、うちのミートソースが一番おいしいと言ってくださったからです」(青木さん)
同社のこれまでの店は「男性が居酒屋でおいしいつまみで酒を飲むように、ワインのお供にイタリアンを気取らず食べていただきたい」というコンセプトで作り、ミートソースも酒の最後に、シメのラーメンの代わりにと勧め、ヒットしてきたという。「三軒茶屋店でもオープンからまだ2カ月ですが、多くのお客さまに楽しんでいただいています」(青木さん)
以上、ボロネーゼ(ミートソース)の人気店3店を紹介した。それぞれ魅力的だが、実は都内にはまだまだボロネーゼやミートソースが評判の店がある。カレーやギョーザと同じく、これも日本の最新グルメの1ジャンルとして成立しているのかもしれない。あなたの好みはどれか、探しに出てはいかがだろう。
(フードライター 浅野陽子)