気に入ったものだけに囲まれて暮らしたい
12歳で芸能界デビューしたともさかさんは、20年10月に41歳の誕生日を迎えた。年齢を重ねるにつれ、モノに対する価値観は変化していったのだろうか?
「物欲はあるような、ないような……欲しいと思ったものをそのまま素直に買ったら負けだと思っている自分がいるんですよ。例えば、お友達と買い物に出かけて『気になっているのなら買いなよ』と言われても、『いや、これを買ったら私の負けだから』と買わずに帰ることがよくあるんです。でもそのモノが売り切れたことを知ると、途端にそれが欲しくなってネットで探し始めるということも……我ながら矛盾してますよね(笑)。
そういう意味では、物欲は尽きないですけど、ここ最近は、無駄なモノを減らして、気に入ったものだけに囲まれてシンプルに暮らしたいというマインドになってきました。それこそ、若い頃は外に出て、新しいものに出合うと欲しくなるようなこともありましたけど、今ではどうしたら快適な暮らしを送れるか、という思考に変わってきたと思います」

「40歳の記念に、気になっているピアスを買うことも頭によぎりましたけど、ついつい現実的なことばかりを考えてしまって、買いませんでした。でも、この先はそろそろ『自分へのご褒美』と自らを説得して、一目ぼれの勢いで何かを買ってもいいかなと思いますね。
『衛生』のご褒美ですか? いいかもしれないですね(笑)。久しぶりに欲しいと思ったビンテージのカバンがあって、でも『0の数が1つ多いわ』と見なかったことにして帰ってきました。けど、いまだに頭に浮かんだりするので、ご褒美をチラつかせながら、初めてのミュージカルを乗り切りたいと思います」
「ミュージカル『衛生』~リズム&バキューム~」
福原充則と古田新太の「汚いミュージカルをやろう」という構想から始まった本作。劇中では、水洗トイレが普及する前の昭和33年を舞台とした物語が展開する――。
脚本および演出・福原充則 音楽・水野良樹(いきものがかり)、益田トッシュ 出演・古田新太、尾上右近、咲妃みゆ、石田明(NON STYLE)、村上航、佐藤真弓、ともさかりえ、六角精児ほか 7~8月に東京、大阪、福岡で上演。
(文 中山洋平、写真 藤本和史)