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現在発売中の「グリコ」。おもちゃはその時代を反映している(江崎グリコ提供)

キャラメル使ったおすすめレシピ「大学芋」

グリコといえば一緒についてくるおもちゃでも有名だ。光永さんによると、菓子とおもちゃを一体化したのは「栄養菓子グリコが健康な身体をつくり、おもちゃが豊かなこころを育んでくれますように、という創業者のアイデア」なのだという。これまでの歴史の中で生み出されたおもちゃは約3万種類、その数なんと約55億個にも及ぶのだとか。

一方、前述の森永製菓も、「森永ミルクキャラメル」の大量生産が可能になり徐々に子どもにも入手しやすい価格になっていくと、絵カードを入れたり、パッケージの中箱を利用して昆虫や動物などの豆知識を印刷して子どもの興味をひいた。1930年代に入ると、「少年少女キャラメル」や「絵本キャラメル」なども相次いで発売した。

このように、日本のキャラメルは、日本人の健康を願うお菓子として生まれ、東西で切磋琢磨(せっさたくま)しながら日本のお菓子市場を盛り上げ、子どもたちの記憶に深く刻まれるお菓子としてその地位を盤石なものにしてきたことがうかがえる。

ちなみに現在、「森永ミルクキャラメル」は、幅広い層の利用を意識しつつ、メインターゲットを60~70代の大人に置いているそうだ。そんな大人たちに向けた取り組みのひとつが、ウオーキングの合間に持ち歩きに便利なキャラメルを1粒食べようという「キャラメル・ウオーキング」キャンペーンだ。

今村さんは「森永ミルクキャラメルの栄養成分は約8割が炭水化物。糖質が豊富に含まれ、即効性のあるエネルギー補給にはもってこいです。運動中にエネルギー補給をした方が疲れが残りにくいという研究もあり、2007年からこのキャンペーンをスタートしました。昨今のコロナ禍でウオーキング人口が増えていることから、利用が増えています」と話す。

さて、目線を筆者が住むフランスに移してみる。そういえば、フランス語には、「carameliser(キャラメリゼ)」という砂糖を加熱してキャラメル化するという意味の動詞が存在する。お菓子に限らず、調理シーンでも「玉ねぎを炒めてキャラメリゼする(=あめ色玉ねぎを作る)」というように、日常的によく使われている。市販のキャラメル関連商品も、さすがお菓子の本場、ざっとスーパーを回っただけですぐにカゴが一杯になる豊富ぶりだ。

フランスのスーパーで見つけたキャラメル関連商品の一部

動詞にもなるくらいのキャラメルを、日々の料理に使うことはできないか? 森永製菓におすすめを聞いてみると「キャラメル大学芋」のレシピを紹介された。

早速作ってみようと思った。だがしかし、フランスでは日本で食されているほくほく系のサツマイモが簡単に手に入らない! フランスで一般に買えるサツマイモは鮮やかなオレンジ色で水分が多く、べちゃべちゃしてしまうのだ。

こちらがフランスで一般的に買える鮮やかなオレンジ色をしたサツマイモ(Patate douce)。

そこで今回は仕方なく、日本に住む筆者の母にピンチヒッターを頼むことにした。森永製菓のサイトによれば、サツマイモを表面がキツネ色になるまで油で揚げたものに、キャラメルひと箱分に牛乳を大さじ1加えてレンジで加熱し、溶かしたものを絡めるだけの簡単料理だ。

キャラメル大学芋(筆者の母作成)

筆者同様、甘辛党の母いわく、「塩をひとつまみ入れると味がしまる」。そして、「キャラメルは歯にくっつくから食べるのをちゅうちょするけれど、料理にも使えるのがわかっていい収穫だった」とのこと。

キャラメルの歴史をひもとくと、思いがけず、日本人の嗜好を追究し続けた開発者たちの熱意と、日本文化と西洋文化が奏でるユニークな歴史に触れることができたのであった。

(*記事内のアルファベットの特殊記号は表示していません)

パリ在住ライター ユイじょり


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