◎中華そば たた味(東京・小伝馬町)

~名店『あさ利』の味に、独自のエッセンスを加味!ラーメン界を震撼(しんかん)させる1杯~

辛さに自信がない人におすすめの「スタミナ中華」

最後にご紹介するのが本年3月末、東京都中央区日本橋小伝馬町にオープンした『中華そば たた味』。同店は現在、平日昼のみの営業なので、生活拠点が近隣にない人たちがおいそれと足を運ぶのは難しいが、オープン以来、行列が絶える日がないほどの盛況ぶりを誇る。

東京メトロ日比谷線・小伝馬町駅から150メートル弱。徒歩で2分もあればアクセスできる場所にある。赤く映える「雷紋」が真っ白い空白部分をぐるりと取り囲む看板。一見すると、屋号が書かれていないように見えるが、凝視すると雷紋に溶け込む形で『たた味』としっかり刻印されているのがわかる。実にユニークな仕掛けだ。

雷紋がぐるりと囲み、屋号はいずこと思ってしまう「中華そば たた味」の看板

現在、同店が提供するのは「スタミナ中華」と「辛スタミナ中華」とそれぞれの特製バージョンのみ。「辛スタミナ中華」の辛さは並大抵ではないので、よほど辛さに自信がある方でない限りは「スタミナ中華」をおすすめしたい。

中華そば たた味は今年3月、東京・小伝馬町にオープンした

「スタミナ中華」は、青森市の激辛ネギラーメンの名店『あさ利』へのオマージュを込めつつ、随所に独自の着想を織り込んでいる。例えば、スープに浮かぶ甘み豊かなタマネギは、千葉県のご当地麺『アリランラーメン』から、「刻みニンニク」「背脂」等の無料増量システムは、店主(吉野慎一氏)の修業先である名店『ジャンクガレッジ』から、採り入れたものだ。

スープは個々の素材の持ち味を的確に把握した上で、豚・鶏・牛の骨と肉を大量に寸胴へと投入し、日高昆布・煮干し・香味野菜等をバランス良く掛け合わせている。油はスープとの相性を考慮し、寸胴で波打つスープの上澄み油を使用。これによって、豚・鶏・牛の盤石の「トロイカ体制」構築に成功している。

はやる気持ちを抑えながらスープをひと口すすると、動物系素材の重厚なコクと、カエシの上質な風味が舌上で融合し、味覚の中枢を刺激。スープに織り交ざる炒めタマネギの豊潤な甘みも、スープの魅力をググっと押し上げる。

無料トッピングで「ニンニク」「背脂」をオーダーすれば、ニンニクの香味、背脂の甘辛い下味も、レンゲを持つ手の動きを更に加速させてくれる。新店とは到底思えない隙のない仕上がりに、驚きを禁じ得なかった。

(ラーメン官僚 田中一明)

田中一明
1972年11月生まれ。高校在学中に初めてラーメン専門店を訪れ、ラーメンに魅せられる。大学在学中の1995年から、本格的な食べ歩きを開始。現在までに食べたラーメンの杯数は1万4000を超える。全国各地のラーメン事情に精通。ライフワークは隠れた名店の発掘。中央官庁に勤務している。