都道府県で男性職員の育休1位 鳥取県イクボス育成術

2021/5/24
なぜ男性地方公務員で育休取得率1位を獲得できたのか?(写真はイメージ=PIXTA)
なぜ男性地方公務員で育休取得率1位を獲得できたのか?(写真はイメージ=PIXTA)
日経 X woman

総務省は2020年12月、男性地方公務員の19年度の育児休業取得率を発表しました。都道府県別に見ると、目を引いたのが鳥取県。警察部門で50%を超しました。秘密は何か。担当者に話を聞き、お伝えします。

日経クロスウーマン編集部(以下、――) 19年度、首長部局等や警察、教育委員会などを含む男性職員の育休取得率が26.1%と全国で1位でした。

鳥取県総務部行財政改革局職員支援課課長補佐の島谷容子さん(以下、島谷) 15年度の取得率は4.2%でした。毎年、徐々に数字を上げて、ようやくここまで来たなという感じです。

15年度以降、「男性職員に育休を取ってもらおう」と県職員全体に積極的に働き掛けてきたことが大きいです。結果として、首長部局等と警察部門で取得率が大きく伸びました。首長部局等は15年度は8%、19年度は25%でした。警察部門は、15年度は0%だったのに対し、19年度は56.5%まで伸びました。

「イクボス」であることをマネジャー評価のプラス要素に

―― 具体的にはどんな取り組みをしてきたのでしょうか?

島谷 育休取得をためらう男性職員の理由には「業務に支障があるのではないか」「同僚の負担にならないか不安だ」などがあります。それに対応するために、まず首長部局等は、マネジャーたちの意識を改革することから始めました。

15年度に県知事が経済団体などと共同で「イクボスとっとり共同宣言」を出しました。「イクボス」は、部下の仕事だけでなく、プライベートにも配慮するマネジャーです。職員の課長クラス以上に、イクボスとしての意識を持ってもらい、マネジメント術を身につけてもらうことを狙いました。15年度以降には、外部からイクボス育成のための講師を招き、研修を開きました。

マネジャーの評価で「イクボスであるかどうか」も一つのポジティブな要素にすることを、職員に対して明確にしたことも大きいです。子どもがいる職員や男性職員が少ないマネジャーもいますので、男性の部下が育休を取得したかどうかが、即プラス評価になるわけではありません。ただ「イクボスであることが評価される際のポジティブな要素」という点を明確にしました。

こうした取り組みを続けてきたことにより、男性職員の育児休業に理解のあるマネジャーが増えました。マネジャー側から積極的に、育休の対象となる男性部下に対して「取得してみたら?」と働きかけるようになってきています。

さらに、20年度からは育休の対象となる男性職員とマネジャーは面談し、マネジャーは職員に「1カ月以上の育休取得を勧める」ことを義務としました。これにより、今後、男性職員の育休取得がより進むと考えています。

育休取得者を増やすポイント(首長部局等)
・マネジャーの意識改革から始めた
・マネジャーを評価する際に「イクボス」度をプラスの評価にすることを明確に
・20年度以降、マネジャーは対象男性職員と面談し、1カ月以上の育休取得を勧めることを義務に
・育休中の給与への影響試算シートを誰でもアクセスできるデータベースに随時掲載

また、育休中の収入減を不安に思う職員への対応もしました。具体的には育休中の給与への影響試算シートを作成。育休予定期間と現在の収入を入力するだけで、育休中の収入の目安が分かるようにしています。

島谷さん(右)と河原さん(左)

一般のウェブサイトにも類似のシートがあります。このシートは鳥取県の職員専用なので、よりリアルな試算ができます。全職員がアクセスできる県庁内のデータベースにアップしていますので、育休中の収入について、人事部や上司にわざわざ問い合わせずに済み、気軽に試算できるようになっています。

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