注意信号(3) どうも同僚、部下の視線が冷たい

着任後の出だしでコミュニケーションを掛け違ってしまい、あなたの気合と情熱とは異なる方向へと周囲の受け取り方が進んでしまうと、あなたに対する人物レビューは「微妙な人」と位置づけられてしまいます。これは絶対に避けたいですね。

組織には「確証バイアス」が働きます。確証バイアスとは、その人が抱いたイメージ、仮説や先入観に合致した情報・データだけを求めるような傾向のことです。要は、いったん「あの人はこんな人」というイメージが形成されると、なかなかそこから抜け出すことは難しいのです。

まさに「第一印象が10割」。その後のイメージ回復はなかなか難しくなるわけです。

「今度来た部長、勝手に進めてばかりで誰も言うこと聞いてないらしいよ」「あの課長の主催するミーティング、微妙だよね。自分がほとんどしゃべって、外れたアイデアばかり進めている。これじゃ、半年持たないんじゃない」「あの役員は決裁が取れないから、関連するプロジェクトには巻き込まれないようにしなきゃね」

同僚、部下の視線が冷たい。言ったことをちゃんと聞いてくれていない。そんな気がするのは、こういった風評が広がってしまったからかもしれません。

新参者にまつわる風評はすぐに社内全体に巡ります。あなたが鳴り物入りで入社した幹部であれば、なおさらのことです。

早晩、社長や役員からも「彼は採用失敗だったか」となってしまったら、取り返しがつきません。幹部としての相談もされなくなるし、案件やプロジェクトも回ってこなくなる。揚げ句の果てに、短期間で再度の転職活動に追い込まれるリスクが高まりそうです。

こうなったら?「仕方がない、改めて転職し直しだ」。いやいや、そんな甘い考えは絶対にやめましょう。ここでこの課題を解決せずに、仮に次に移ったとしても、必ず次の新天地でまた「やらかす」ことになるのは間違いありません。

一度こうなってしまったら、挽回は大変だと思われます。ただ、今回紹介した通りの行動に軌道修正をできれば、周囲の同僚や部下たちは、案外、事実をちゃんと見ているものです。

「部長、最近ちゃんと現場の情報を見てものを言ってるよね」「課長、メンバーの意見をしっかり収集してから、それに対してちゃんとレビューしてくれるし、その上でのアイデアを出してくれるね」

周囲の状況把握、そのための主要な面々との密なコミュニケーション。当たりどころが分かったら、積極的に改善案などを提案。この着任初期の鉄則的PDCAをしっかり回すことができていれば、あなたの新天地での今後の展望は明るいものとなるでしょう。

転職は「内定を得て入社したら成功」ではありません。その転職が成功だったのか失敗だったのかが決まるのは、着任後のスタート次第です。ぜひ今回の転職を「成功」にするために、着任後の3つの注意信号に気をつけながら、周囲の信任を得ることによって働きやすい環境を獲得できることを願っております。

※「次世代リーダーの転職学」は金曜掲載です。この連載は3人が交代で執筆します。

井上和幸
経営者JP社長兼CEO。早大卒、リクルート入社。人材コンサルティング会社に転職後、リクルート・エックス(現リクルートエグゼクティブエージェント)のマネージングディレクターを経て、2010年に経営者JPを設立。「社長になる人の条件」(日本実業出版社)、「ずるいマネジメント」(SBクリエイティブ)など著書多数。

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