100倍ズームのカメラがすごい
Galaxy S21 Ultraは、約1億画素のカメラを搭載しており、非常にクオリティーの高い写真が撮れる。しかし最近はミドルレンジクラスのスマホもカメラ性能が向上しており、普通のスナップ写真を標準カメラで撮影したり、超広角カメラで風景を撮っている限りでは、違いがあまり感じられない。
Galaxy S21 Ultraのカメラが真価を発揮するのは、撮影した写真をトリミングしたとき。特に目を引くのがデジタルズームによる望遠撮影時だ。以前使っていたGalaxy S20+は光学ズームとデジタルズームの組み合わせで30倍ズームでの撮影が可能だったが、30倍だと画像がかなり荒れてしまった。ところがGalaxy S21 Ultraは、30倍程度ならクオリティーは十分。100倍にするとさすがに荒れてくるが、「見る気になれない」ほどではなく、実用的な範囲に収まる。




夜景の撮影もナイトモードでとても明るく撮れる。ポートレートのぼけ具合も文句なしだ。



夜空の月を撮影したときは驚いた。素人が手持ちで100倍ズームで月を撮っても、そこそこクオリティーを出せるのだから、開いた口が塞がらない。

サムスンが「動画撮影の常識が変わる」と豪語する、超高精細の8Kビデオ撮影もできる。8Kビデオを撮影し、気になった部分だけを静止画で取り出せる機能も重宝する。ビデオと写真の両方を記録したい旅行や子供、ペットの撮影にも役立つはずだ。

15万円の価値があるかはこだわり次第
性能、カメラともに素晴らしい製品だが、先述のように価格は15万円超えとかなり高価だ。高性能なパソコンも買えてしまうプライスである。
多くのユーザーには、ここまでのスマホは必要ないだろう。だが、ハイエンドを求めるユーザーにはとても魅力的に思えるはずだ。ここまでは不要だと思うなら、他の選択肢はいくらでもある。15万円の価値を実感できる人が買えばいいモデルだ。
要するに、高級一眼レフを買うようなもの。スマホもコモディティー化が進んで、ハイエンドモデルは明確なニーズのあるユーザーだけが買うようになってきたわけだ。
1963年生まれのビジネス書作家。著書は150点以上に上る。パソコンなどのデジタル製品にも造詣が深く、多数の連載記事も持つ。ユーザー視点の辛口評価が好評。