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SKY-HI 「幸せじゃない」と感じてレーベル立ち上げ

SKY-HIインタビュー(上)

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NIKKEI STYLE

日経エンタテインメント!

この日のSKY-HIはダークスーツに身を包み、取材前に交換した黒い名刺には、SKY-HIの名前とともに、「CEO/Artist」という肩書き。AAAの日高光啓とも、ラッパーのSKY-HIとも違う姿で現れた。

これまでも日本の社会のあり方や音楽業界に対し、自らの意見を発信し続け、エナジェティックに活動してきたSKY-HIだが、2020年、レーベル&マネジメント会社である「BMSG」を設立。4月2日からは、BMSG主催のオーディション「THE FIRST」も始まり、いよいよ自身がこれまで考えてきたことを本格的に形にするフェーズに入ったのではないだろうか。

なぜ、SKY‐HIは自ら動く道を選んだのか。そこには、AAAのメンバーとして、メジャーシーンをトップから見てきた視点と、ソロラッパーとして経験したアンダーグラウンドからの視点、さらには、アジアをメインに海外のアーティストと交流することで得た外からの視点など、マルチアングルで音楽業界を見てきたからこその、ひっ迫した危機感があった。

「第一は、日本の音楽業界が仕組みとして"閉じてしまっている"ことにありました。日本の芸能界って30年ほど前に大きなバブルがあって、音楽業界ではCDバブルもありました。そのバブルのインパクトが強かったぶん、いまだに当時の仕組みのまま変わっていないことがたくさんあるんです。

例えば、ミュージックビデオ(MV)の制作予算。いまだに日本の多くのメジャーレーベルが、CDの売り上げから逆算する形で組んでいる。でも、今はCDがメインで聴かれる時代なんかじゃないから、「MVの制作費も安く抑えるのが当たり前」の方向に進んでしまっています。

それにきちんと対応した世界の音楽市場はぐんぐん伸びていて、MVに映画1本分の制作費を掛けることもあるほど。それとは逆に、自分の部屋で作品を作って世界中に送り出す、いわゆる"ベッドルームミュージシャン"の流れもある。インターネットの時代になって、音楽業界もすべてが劇的に変わった。それなのに、日本では30年前からビジネスの仕組みがほぼ変わってない。そんな業界が残れるのか……僕は、とても危険な状況だと思っています。とにかく"閉じている"印象が強いんです。

一方で、コミュニケーションとしては、インターネット、特にSNSを介して"開いている"環境にもなっている。30年前の感覚の業界からアーティストが世の中に出ると、実際に待っているのは"開いている"世界。表に立つことは、過剰なストレスを負うことに直結してしまう。名前が売れるほど、「幸せ」でなくなっていく状況があると感じています。半分ぐらいはやむを得ないとは思っているのですが、どう考えても負う必要の無いストレスやプレッシャーが本人たちに向けられているなぁと感じることは少なくないです」

「幸せ」はSKY‐HIにとって、最近の活動の根幹にあるキーワードのようだ。20年9月に両親の住む実家から配信したオンラインライブ「#SKYHI実家ワンマン」では、「俺が幸せである意思表示になった」と語り、1月に配信リリースしたKan Sanoとのコラボレーション曲のタイトルは『仕合わせ』。BMSGの公式ホームページには「幸せな人は一人でも多い方がいい。それは、そもそもエンターテインメントが何のためにあるのかって話だから」と記されている。

自身で会社を設立する大きなきっかけになったのは、喜びの絶頂にあるはずの瞬間に「幸せじゃない」と感じた出来事だったという。

「17年5月、2日間の日本武道館公演(『SKY‐HI HALL TOUR 2017~WELIVE~』のファイナル)を終えた後のことでした。当日はもちろん素晴らしい気持ちでしたし、ファンやスタッフの方々も含め、周りのリアクションにもありがたい気持ちでいっぱいでした。でも、一方でこう感じてしまったんです。『万が一、このまま自分の評価がどんどん上がり、どんどんライブ会場の規模が大きくなったら…あれ? 全然幸せじゃなさそうだな』って」

時代に適した"小型船"

かつては、会場の規模が大きくなれば"成功"と見なされ、"成功"イコール幸せと考えられていた。しかし、そこに幸せが見出せない時代にある。その理由の1つが、前述のインターネット時代に生じるストレスであり、さらにもう1つ挙げるのが、30年前に膨らんだ音楽業界の仕組みによる"動きづらさ"だ。彼は、今の日本の音楽業界を「かつてのバブルが大きかったぶん、資本やシステムが巨大に膨れ上がっていて、その姿は豪華客船のようなもの」と例える。

「豪華客船に乗らないと広い世界に出られない音楽業界の現状は、果たして今の時代に合っているのか。自分が幸せを感じるには、根本の仕組みそのものを変えないとだめなのかもしれないと思いました。それには、怖いけれども、今の蓄えで自分の小型船を作るしかないのかもと考えました。ましてや、インターネット時代のスピードを考えたら、小型船でやるしかない。即断即決で前に進んでいける体制でやっていかないと」

それが、マネジメント&レーベルBMSGの設立につながった。

「当初は、個人事務所にするか、韓国のAOMGとかHi‐Lite Recordsのようなマネジメントレーベルのあり方に近い形にするか、つまり自分のレーベルを立ち上げて、スタンスが近かったり共鳴するアーティストを加えていく形にするか、悩みました。去年は芸能界で事務所からの独立が目立ちましたが、当然、個人事務所にすれば実入りが大きい。

一方で、自分以外の人を抱えて、会社を大きくしようと思うほど、特に初期は出費が恐ろしいし、蓄えてきたお金も評価も、ものの2年くらいで水泡に帰す可能性もあるわけです。『やっぱり日本では無理かもしれない』『日本と海外は違う』っていう言葉が自分の中で呪いのようにあって。それでも豪華客船では水の合わない人たちの中にこそ才能が眠っているのを感じていましたし、絶対に自分のためにも音楽業界のためにも必要なはずだと思って、後者を選びました。

その間にも僕の元に、シンガーやラッパーから『居場所がない』っていう相談が、どんどん増えていたんです。ダンスも歌もうまくて、さらにイケメンで……表に立てる才能が、『やりたいけれども、やる場所がない』という理由で、バックで踊る仕事をしていたり。

インターネットで個の時代が来たことで、音楽で食っていくってことに関しては相当ハードルが下がったと思うんです。インディーズでやっているヒップホップアーティストなんかは、すごく暮らしやすいはずなんですよね(笑)。でも、例えばダンス&ボーカルの才能を持つ子がインディペンデントで思うがままに活動できるかっていうと、それは難しい。

ここ数年、日本の優れた才能が、10代前半から韓国語を学び現地で暮らし、韓国で活躍の場を得ていますが、それが可能な家庭や環境ってやはり稀だし、今まで日本は、どれだけの才能を損失してきたんだろうと思います。日本をベースに活動し、世に出た人も、30年前の仕組みのままの業界の状況によって、いったいどれだけの才能が死んできたのか。そう考えたときに、『才能を殺さないために』というBMSGのステートメント(理念)が生まれました」

インタビュー後編「自分を殺すチームワーク、グループに不要」では、才能の海外流出に対する危機感、オーディションの重圧などについて聞く。

(ライター 日高郁子)

[日経エンタテインメント! 2021年5月号の記事を再構成]

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