携帯3社のオンライン専用プラン 意外と多い落とし穴佐野正弘のモバイル最前線

2021年3月から順次サービスを開始した「ahamo」などのオンライン専用プランだが、従来と異なる部分が多く既存プランからの乗り換えには注意を要する

NTTドコモの「ahamo(アハモ)」をはじめとする携帯大手3社のオンライン料金プランが2021年3月に始まった。だが、従来の料金プランとの違いをよく知らないまま契約し、トラブルになるケースも少なからずあるようだ。安価なオンライン専用プランを快適に利用するためにも、乗り換えの際に注意が必要なサービスを把握しておこう。

キャリアメール非対応がトラブル招く

「ahamo」やKDDIの「povo(ポヴォ)」、ソフトバンクの「LINEMO(ラインモ)」といったオンライン専用プランは、契約やサポートをすべてオンラインでする必要がある代わりに、月額2000円台で20ギガバイト(ギガは10億、GB)の高速データ通信が利用できる。だがこれらのプランは従来の携帯3社の料金プランと比べた場合、できないことが意外と多く存在する。乗り換えには十分な注意が必要だ。

最大の違いは実店舗での契約やサポートが受けられないことだ。トラブルが起きても、「ドコモショップ」「auショップ」「ソフトバンクショップ」などでサポートは受けられない。一部の例外を除いて電話でのサポートもない。トラブルが起きたときはすべてチャットで相談する必要があるのだ。

ただ実店舗でサポートしてほしいというニーズが多くあることから、NTTドコモはahamoユーザーに対し、契約申し込みのサポートをする「ahamo WEBお申込みサポート」と、契約後の手続きをサポートする「ahamo WEBお手続きサポート」を4月22日から提供しているが、いずれも1回当たり3300円の料金がかかる。povoやLINEMOに関しても同様のサービスの検討がなされているようだが、現時点では店舗サポートは受けられないと覚悟すべきだろう。

総務省「競争ルールの検証に関するWG」の第16回会合におけるNTTドコモ提出資料より。店頭サポートを受けていないahamoだが、今後有償による店頭サポートを提供予定としていた(4月22日から提供)

実店舗でのサポートと同様、オンライン専用プランで省かれたのがいわゆる「キャリアメール」だ。「docomo.ne.jp」「au.com」「softbank.ne.jp」といったドメインのメールアドレスは、携帯大手のメインブランドでは標準サービスとして付いてくる。だが、最近は利用者が減少しているため、若い世代をターゲットにしたオンライン専用プランではカットされた。

もちろんGmailやiCloudのメールアドレスを使えばその代替にはなるが、キャリアメールを長く使っていた人がオンライン専用プランに乗り換える場合は意外とトラブルになりやすい。なぜなら各種のオンラインサービスに入会する際、連絡先にキャリアメールのアドレスを登録し、そのことを忘れたままオンライン専用プランに乗り換えてしまうと、メールの受信ができなくなるケースが起こり得るからだ。

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キャリア決済にも制約、事前確認が必須