松田茂樹・中京大学教授「少子化対策支出の拡充が不可欠」

中京大学の松田茂樹教授は、国の少子化克服戦略会議で座長を務めるなど、長年にわたり少子化を研究しています。新型コロナウイルス感染拡大の影響も含めて、少子化克服の方策をうかがいます。

――新型コロナウイルスの感染拡大は個人の出生動向にどんな影響を及ぼしましたか。

松田茂樹・中京大学教授

「国は3月、今年1月の出生数速報値を発表しました。1月の出生数は6万4千人、前年同月比14.6%も減っています。1回目の緊急事態宣言発令は2020年4月。『十月十日』の妊娠期間を加味すると、新型コロナの影響が本格的に出てくるのはこれからですが、出生数の先行指標でもある婚姻件数は昨年からすでに減っており、2月以降も厳しい結果が予想されます」

「2020年11月に他大学の研究者と共同で出生動向に関する意識調査を実施しました。対象は子どもを持つ25~45歳の男女約600人。子どもをもっとほしいか否か、新型コロナの感染拡大が行動にどう影響しているななどを尋ねました。現在すでに1~2人の子どもがおり、さらにほしいと考えている回答者のうち、約3割が出産時期を先送りしていました。この結果からも、出生数の低下は避けられないと思われます」

――ウィズ/アフターコロナにどう臨めば良いでしょう。

「出産を先送りした人には2つの特徴がありました。1つは男性で年収が低い方。コロナ禍の景気後退で経済的に苦しくなったため、子育てのコストを負担できないと考え、子どもを持つ時期を見直したのでしょう。もう1つは専業主婦の女性です。コロナ前から、働く女性の方が専業主婦よりも出産意欲が高い傾向がありました。その理由は、専業主婦は欲しいと考える人数の子どもを、すでにもうけている割合が高いからです。こうした事情に加えて感染予防のために巣ごもりを強いられ、専業主婦は社会的な孤立が増し、子どもを持ちたい意欲がさらに減衰したと思われます」

「コロナの影響に関していえば、経済の立て直しが一番です。私たちの調査からも分かるとおり、経済的な不安を抱える夫は、子どもをもう1人、2人と持つのためらいます。先の見通しが立たないと未婚者は結婚を先送りし、出生数を押し下げる要因になります。コロナ禍で景気が悪化し、人件費を抑制する動きも企業に見られますが、雇用を安定させることがコロナの影響から脱する第一歩となります」

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