各社のノンアルコールビールの個性

ノンアルコールビールの飲用を促す健康意識は、大きく2つに分けることができる。気分転換や爽快感を味わうために飲みたいタイプと、体脂肪など健康指標や体形などを気にして飲みたいタイプ。各社はそれぞれのニーズに対応する商品をラインアップしている。

アサヒビールの「アサヒ ドライゼロ」は、16年から5年連続で最も売れているノンアルコールビールだ(インテージSRI調べ)。ビールらしい味わいが特徴で、アサヒビール マーケティング本部 新価値創造推進部担当課長の吉岡孝太氏は、「アサヒ スーパードライファンの休肝日に飲んでもらうイメージ。12年の発売から毎年味を磨き続けており、麦らしいビールの風味を持ちつつ、炭酸の刺激は強め。爽快に飲めてスッキリしたキレがある」と説明する。その一方で、より健康意識の高い人に向けた「食後の血中中性脂肪の上昇をおだやかにする」という特定保健用食品の「アサヒヘルシースタイル」も用意している。

キリンビールは、「本格的」「健康的」「爽快感」の3つのカテゴリーで、4種類のノンアルコールビールを取りそろえている。本格的なビールの味わいを求める人には「零ICHI」、健康を強く意識する人には「カラダFREE」と「パーフェクトフリー」、気分爽快にビールのおいしさを楽しみたい人には「グリーンズフリー」と分類。21年2月にリニューアル発売した「グリーンズフリー」は、ビールと同じ原材料でつくる“とびきりおいしいノンアル”を目指したという。

キリンビール「グリーンズフリー」のリニューアル前(左)と、現行品(右)。ノンアルコールという言葉をパッケージの表面にあえて記載しなかったところ、「中身がイメージできない」という声があり、変更した(写真提供/キリンビール)

キリンビール マーケティング本部マーケティング部 ビール類カテゴリー戦略担当の久保育子氏は、「ノンアルコールビールの課題は味。どんなに厳選した素材でつくっても、おいしくなければ買ってもらえない」と話す。

機能性表示食品「カラダFREE」は、1日1本、12週間飲み続けることで「お腹まわりの脂肪を減らす」というユニークな商品だ。熟成させたホップの苦味成分である「熟成ホップ由来苦味酸」に体脂肪を低減させる効果があることを発見し、10年かけて開発。サプリメントのような新たな価値を創出した。売れ行きは好調で、「19年10月の発売から20年2月末までの累計販売数量は、350ミリリットル缶で5000万本を突破した」とキリンビール マーケティング本部マーケティング部 ビール類カテゴリー戦略担当の村井志帆氏は話す。

サントリーのオールフリーは、10年の発売当初から健康がテーマで、糖質・カロリー・プリン体ともにゼロ。サントリービール マーケティング本部の畑中和也氏は、「お酒を飲めるけどあえて飲まないという価値観を、いち早く打ち出してきた」と言う。酔わずに健康的にスカッとできる「オールフリー」と、内臓脂肪を減らす機能がありながらビール好きが満足する味わいの「からだを想うオールフリー」の2本柱で展開。20年のオールフリーブランドの出荷数は、前年比8%増で過去最高を更新したという(サントリー調べ)。

各商品の特徴は、パッケージデザインにも反映されている。アサヒ ドライゼロは、アサヒ スーパードライと同じ、シルバーを基調としたデザインだ。ビールらしさを追求していることが伝わってくる。オールフリーは、ビールらしさとは真逆の白を基調にしたデザインを採用。「糖質、カロリー、プリン体ゼロ」の表記をチェックボックス付きにして目立たせ、爽快な気持ち良さと健康価値の両立を目指した。

サントリー「オールフリー」のパッケージの変遷(左から右へ、一番右が現行品)。青いラインで爽快感を表現している。最初に青いラインを入れたのは2018年(写真提供/サントリー)

キリンビールのカラダFREEは、21年3月上旬にリニューアルし、順次パッケージを切り替えるという。目指したのは、体脂肪を減らす機能性と爽快なおいしさを感じられるデザイン。「カラダFREE」というロゴは、文字と文字の間を広めに取った独特のバランスが目を引く。

キリンビール「カラダFREE」のリニューアル前の裏面(左)と、現行品の表面と裏面(中・右)。店頭でどんな向きで置かれても機能性をアピールできるように、リニューアルを機に缶の裏面にも表面と同じ表記を入れた(写真提供/キリンビール)
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