初夏の仕事ルック 「パステル&エアリー」が決め手に
宮田理江のおしゃれレッスン
初夏の仕事ルックは清涼感や軽やかさが求められます。心地よく過ごすには、風を通すエアリー仕立てのシャツブラウスやスカートが味方に。少しくすんだパステルカラーの程よい甘さは仕事モードにもなじみます。さわやかな色と素材は、気持ちを穏やかに整えて、在宅ワークの能率まで高めてくれそう。働く女性からの支持が厚いブランド「Theory luxe(セオリーリュクス)」の春夏アイテムから、りりしさと心地よさを兼ね備えたオフィスコーディネートのコツを押さえていきましょう。
パステル色のシャツブラウス主役に パンツですっきり
仕事スタイルでは定番のパンツルックに、ニュアンスのあるトップスを組み合わせると、新鮮な表情でまとうことができます。パリッとした綿シャツとは異なり、とろみを帯びた薄手のトップスは、春夏らしい清涼感が魅力です。
パウダーブルーのシャツブラウスは襟がスタンドカラーで、首回りがすっきり。襟まわりにきちんと感を醸し出せる点も仕事スタイルになじみます。しなやかなドレープがボディーラインに陰影を宿しました。身頃(みごろ)は生地が二重で、袖は1枚仕立てなので、両袖にほのかな透け感が備わり、春夏らしい軽やかな印象に。
ボトムスは濃いめのカラーで引き締めると、仕事コーディネートらしいシャープ感が出ます。深いグリーンのパンツは、自然界をテーマにしたナチュラル志向が強まるトレンドにもマッチ。裾に向かって徐々に細くなるテーパードシルエットで足元をさらにすっきり演出。トップスとの質感のずれを意識すると、スタイリングにコントラストが生まれ、全体にこなれた雰囲気が漂います。
さわやか色のシャツブラウスは、仕事のモチベーションまで高めてくれそう。顔回りを明るく見せてくれるトップスはマスク生活にも重宝。プライベートでの着回しバリエーションも広がります。
サテン素材にうっすらとストライプ柄を帯びた淡いイエローのシャツブラウスは春夏ファッションにふさわしい1着。スタンドカラーを生かして、スカーフを襟元に迎えると、色・柄のアクセントが加わります。キリッとした雰囲気が寄り添うので、オンライン会議にも使える小技です。ブラウスより濃い色のスカーフを添えると、顔回りが引き締まって見えます。
正面に折り目のついたセンタープレスのパンツは、オフィスで望まれる「きちんと感」を印象づけます。素肌に張り付かないドライタッチで、しわになりにくい素材も、立ったり座ったりが多いデスクワーク向き。トップスよりも濃いめの色を選ぶのは、腰から下をスレンダーに見せる基本テクニック。足元はぺたんこのバレエシューズを迎えてリラックス。斜め掛けのショルダーバッグを添えると、縦長効果が引き立ちます。
ジャケットをはおる重ね着はオフィスルックの定番ですが、シャツやブラウスの内側に着込む形での重ね着はコーデの幅を広げます。かさばりや堅苦しさを避けやすい点でも取り入れたいスタイリングです。
スタンドカラーのシャツブラウスは、襟に立体感を出せるから、レイヤード(重ね着)向きのトップスです。シンプルなタートルネックのカットソーをインナー使いで着こなして。コットンベースのソフトな素材がシャツブラウスとの質感の違いを際立たせて、装いのムードを深くしました。伸びやかな着心地のおかげで、仕事もストレスフリーに。
カットソーとの重ね着で奥行きが生まれているから、ブラウスの裾をウエストアウトしてもルーズに見えません。パンツの上にかぶせることによって、気負わない雰囲気に。両サイドにスリットが入ったパンツは、レッグラインをシャープに見せてくれます。ジャージーライクな風合いは、座っていても引っかかりを感じにくい着用感。つやめきを抑えたマットな質感で、ブラウスと好対照に見せるのがポイントです。
風合いをずらした異素材コンビネーションで、薄着でも表情深く
薄着になっていくシーズンは、装いに「さわやかさ×きちんと感」の掛け算を心がけたくなります。かさばりを避けながら、趣の深い着映えに仕上げるには、質感の異なるアイテム同士を引き合わせるコーデが効果的です。
体を締め付けないニットは、仕事を邪魔しない点でも、オフィス服の有望候補に浮上してきました。布地で仕立てたシャツやブラウスの代わりに、ニットトップスを迎えれば、ビジネスコーデの印象をソフトに変えられます。色の選択肢が多いのもニットウエアのよさ。トーンがくすんだダスティー色を選べば、ピンク系でも職場で浮きにくくなります。スカーフを添えて、別のムードをまとわせる小技も使いこなして。
シルクのような風合いのスカートは、ニットトップスとの質感の違いが際立っています。適度な透け感のある素材と光沢を帯びたサテンを組み合わせて、ほのかなストライプ柄を描き出しました。シルバーグレーの色も、ダスティーローズのトップスとなじんでいます。優美なスカートには、コンパクトなニットトップスを合わせると、甘い印象を抑え、仕事シーンになじませやすくなります。
シャツやブラウスだけでは淡泊に見えそうな場合は、ジレ(ベスト)が役立ちます。紳士服のスリーピースでおなじみなだけに、仕事ルックらしい落ち着きをもたらすアイテム。ジャケットに比べて、袖部分が軽やかに見えるのも春夏に便利です。
スタンドカラーのシャツブラウスに重ねたのは、着丈の長いジレ。ヒップも隠すロングタイプだから、しなやかな落ち感が備わりました。フロントボタンを開け閉めして見え具合を自在にアレンジできるのも、使い勝手に優れる点。ジャケット感覚で着こなせるので、ビジネスシーンにも違和感がありません。
ロングジレとマキシ丈スカートを組み合わせると、「ロング×ロング」の相乗効果が生まれ、縦に長いシルエットが際立ちます。サテン素材ならではのなめらかさと光沢がエレガンスを薫らせました。ベージュからライトブラウンに至る同系色を集めて、微妙に色調をずらした「トーン・オン・トーン」のコーデが上品で穏やかなムードを醸し出しています。
春夏ルックのムードチェンジャーに向くのは、スリーブレスのニット・プルオーバー。シャツやブラウスに重ねるだけで、柔和な雰囲気が加わります。トレンドの異素材レイヤードを仕事ルックにも取り入れやすいスタイリングです。
パウダーブルーのシャツブラウスに、アイボリーのニットをオン。しっかりとした編み地は、体のラインを拾いにくい点でオフィス向きです。光沢を放つシアーなブラウスと、絶好の素材コントラストを生みました。クリーンな印象を与える白は、装いにも衛生感や清らかさが望まれる今の気分にマッチしています。
パンツも白でトーンを合わせて、涼やかな着映えに。仕事のシーンではセンタープレス入りのパンツを選べば、カジュアル感を遠ざけやすくなります。オンとオフをスイッチングする切り替えツールがバッグと靴。レザーバッグとトートバッグ、パンプスとサンダルといった使い分け次第で、シーンに合わせてコーデのイメージを変えられます。
透け感スカートを仕事着に ダークカラーのトップスが好相性
透け感を帯びたエアリーなスカートは春夏シーズンに出番が多くなるアイテムです。オフィスコーデに取り入れるためには、黒やネイビーといったダークカラーを組み込んだコーデが効果的です。シックな雰囲気を演出できます。
タートルネックのプルオーバーには、カジュアルな印象がありますが、黒を選べば、大人っぽいムードに。コットンベースのさらっとした素材は春夏でもさわやかな着心地。ニットとは質感が大きく異なるレザーで仕立てた、ノーカラーのジャケットをはおって、黒レイヤードにめりはりをつくるのがコツです。
上半身を黒で整えれば、春夏仕様のフレッシュな色のエアリーなスカートを引き合わせてモダンなコーデに整えられます。イエロー系ならトレンドのナチュラル感もプラス。落ち着いたバランスにまとまるのは、黒トップスとのコンビネーションのおかげ。スカート1点だけをきれい色にすればオフィスルック向きスタイリングの完成です。
フェミニンな印象のロングスカートも、ロング丈のトップスで合わせれば、仕事ルックにふさわしい、落ち着いた見え具合に変身します。モノトーンのトップスで合わせるのがシックさを高めるポイントです。
ネイビーのプルオーバーニットはポンチョのようなゆったりしたシルエットで、のどかな着心地。体を締め付けられないので、快適に着られそう。広めのラウンドネックにはロングネックレスを垂らしてスパイスを添えました。
甘さを抑えたシルバーグレーのエアリーなロングスカートに、ネイビーのロング丈のニットを重ね、落ち感を増幅するコーデに。仕事のシーンに軽やかで涼しげなムードを取り入れたいときにはシアー素材のスカートが役に立ちます。モノトーントップスとの組み合わせは取り入れたいコーデ技です。
ベーシックな白のシャツやブラウスのムードを変えるボトムス候補に、エアリーなロングスカートが挙げられます。シルバーグレーのスカートと合わせてエレガントなムードに。そこに濃い色のカーディガンを重ねることで、節度や品格を備えた着映えに整えられます。
白いシャツブラウスに重ねたネイビーカラーのジャケット風のカーディガンでコントラストをくっきり。しんなりとボディーラインに寄り添って、やわらかい輪郭を描き出しています。ジャケット感覚で着こなせるニットカーディガンは、リモートワークでも使い勝手に優れたアイテムです。
カーディガンとの濃淡が際立つコンビネーションは装いを立体的に見せてくれます。フェミニンなシルバーグレーのロングスカートは意外な好相性を発揮。色と素材のめりはりが際立つような組み合わせを意識するのが秘訣です。
大人女性の新しい仕事服に
「セオリーリュクス」は、知的なベーシックスタイルをベースに、程よくトレンドを取り入れた、大人の女性に向けたブランド。着心地のよさを第一に考え、体を包み込むようなラインを意識したデザインは2004年のスタート以来、働く女性から広く支持を集めてきました。心地よさときちんと感の両方を兼ね備える点でも今の時代の働き方になじみます。
ダスティーパステルのエアリーなブラウスとスカートは、これからの汗ばむ季節にも快適さを保ちやすい点で頼もしいアイテムです。透け感が醸し出す軽やかさも、涼しげな装いに導いてくれるから、この春夏の仕事コーデに取り入れてみてはいかがでしょうか。
セオリーリュクス
https://www.theory.co.jp/theoryluxe/
ファッションジャーナリスト、ファッションディレクター。多彩なメディアでランウェイリポートからトレンド情報、スタイリング指南などを発信。バイヤー、プレスなど業界経験を生かした、「買う側・着る側の気持ち」に目配りした解説が好評。自らのテレビ通販ブランドもプロデュース。セミナーやイベント出演も多い。 著書に「おしゃれの近道」「もっとおしゃれの近道」(ともに、学研プラス)がある。
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
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