コンサルティングファームを経て事業会社へ

ここまでは「メーカー→メーカー」についてお話ししてきましたが、キャリアの道筋は多方向へ広がっています。先ほどと同様、マーケティングを学んだり、経営学修士(MBA)を取得したりした理系人材がコンサルティングファームに迎えられる事例も多数あります。

コンサルタントとして様々な企業の案件を経験しながらフレームワークを身に付け、次はスタートアップやメガベンチャーなど、「旬」な企業の事業開発職に転職する――。そんなキャリアパスを歩む人も増えています。

なお、事業開発のキャリアを発展させようとするなら、「理系の素養」+「ビジネスの知見」だけでなく、コミュニケーション力も欠かせません。研究開発職は自分1人で担当業務に没頭する場面も多いかと思いますが、近年の事業開発は自社だけで完結することは少なく、外部企業・人材との「共創」によって進められます。

「コラボレーション」「コ・クリエーション」「オープンイノベーション」といったワードが広く使われるようになりましたが、こうした共創プロジェクトを円滑に進めるためにも、連携する力を養う必要があるといえるでしょう。

なお、こうした「越境転職」は、30代後半以降になるとハードルが上がります。今の仕事やポジションに違和感を覚えていたり、将来に不安を抱いていたりするのであれば、早めに選択肢を広げる行動を起こしてみてはいかがでしょうか。

とはいえ、30代後半以降であっても、越境転職ができないわけではありません。いきなりまったく異なる分野に移るのではなく、経験が生かせる類似分野へ「染み出す」形であれば、可能性はあります。

例えば、最近では化粧品メーカーがサプリメント商品を出すなど、異業種への乗り入れの動きが活発です。「医薬品から化粧品・食品へ」など、経験が生かしやすい異分野に注目してみてはいかがでしょうか。

昨今の理系人材のキャリアは、「新卒時の就職」から大きく変化しているようです。一昔前は、所属する研究室の「教授推薦」や先輩OB・OGの紹介が理系学生の就職ルートの王道でした。ところが、最近は「推薦」での就職が減少しているそうです。

理系学生をスカウトできる新卒採用サービス「LabBase(ラボベース)」を手がけているスタートアップ、POL(ポル、東京・千代田)が、理系人材を採用している企業の人事・約100人を対象に調査を行ったところ、約6割が「推薦制度を利用していない」と回答したそうです。また、推薦制度を利用している企業においても、約4割が「推薦経由での応募が減少している」と回答したそうです。

これは、理系学生たちが「受け身」にならず、自分の意思を持って行動を起こしている実態の表れといえるでしょう。特定の研究分野にこだわって深掘りしていくのか、「理系の素養」を生かして「ビジネス」よりのキャリアを積むのか――。理系人材の選択肢はさらに広がっていきそうです。

※「次世代リーダーの転職学」は金曜掲載です。この連載は3人が交代で執筆します。

森本千賀子
morich代表取締役兼All Rounder Agent。リクルートグループで25年近くにわたりエグゼクティブ層中心の転職エージェントとして活躍。2012年、NHK「プロフェッショナル~仕事の流儀~」に出演。最新刊「マンガでわかる 成功する転職」(池田書店)、「トップコンサルタントが教える 無敵の転職」(新星出版社)ほか、著書多数。

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