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一部の認知機能テストの成績も向上

次に、フラバノールの摂取が認知機能に及ぼす影響を調べるための検査を、ココア摂取後2時間の時点で行いました。検査に用いたのは、日本で脳トレ(脳トレーニング)の1つとしてテレビなどでも紹介されることが多い、色読みテストです(下図参照)。評価は、解答の正確さと、問題を解くために要した時間に基づいて行いました。

図 色読みテストの例

Scientific Reports volume 10, Article number: 19409 (2020) の添付資料を参考に作成

すると、18人中14人において、ココア摂取前および低用量ココア摂取後と比べて、高用量ココア摂取後に成績が向上していました。ただし、成績が良くなったのは、最も難しい(4)のダブルストループテストだけでした。

残りの4人には、認知機能検査の結果に高用量フラバノールの影響は見られませんでした。これら4人には、高用量ココア摂取後に、脳の酸素化の有意な上昇も見られていませんでした。4人について著者らは、「ココアを摂取する前から酸素化レベルが高かったために、ココアによるさらなる改善の余地が少なかった可能性はある」との考えを示しています。

得られた結果は、フラバノールが、迅速かつ強力に脳の血管の酸素化反応を誘導すること、それと並行して、より高レベルの認知機能を求められた際の解決能力を高めることを示唆しました。

脳の酸素化の不調は高齢者に多く、心血管疾患や認知症のリスクが高い人にも認められます。「高用量フラバノールがそうした人にも利益をもたらすかどうかを、今後検討する必要がある」と著者らは述べています。

なお、今回用いた高用量フラバノールココアによってもたらされた利益が、チョコレートを摂取した場合にも同様に見られるかどうかは不明です。チョコレートに加工される際にフラバノールの含有量が低下すること、チョコレートの摂取量が多くなれば、糖分と脂肪分の摂取量も増えることを考えると、効果が得られる量を日常的に摂取するのは困難です。著者らは、「ココアにこだわらず、フラバノール含有量の多い食物(ブドウ、緑茶、リンゴ、ベリーなど)をいろいろと摂取するほうがよい」との考えを示しています。

論文は、2020年11月24日付のScientific Reports誌電子版に掲載されています[注1]。

[注1]Gratton G, et al. Scientific Reports volume 10, Article number: 19409 (2020)

[日経Gooday2021年3月15日付記事を再構成]

大西淳子
医学ジャーナリスト。筑波大学(第二学群・生物学類・医生物学専攻)卒、同大学大学院博士課程(生物科学研究科・生物物理化学専攻)修了。理学博士。公益法人エイズ予防財団のリサーチ・レジデントを経てフリーライター、現在に至る。研究者や医療従事者向けの専門的な記事から、科学や健康に関する一般向けの読み物まで、幅広く執筆。

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