余談だが、俳優の柳生博氏を取材した時に聞いた話では、昔は役者がクイズ番組の司会をやるのは大変だったらしい。度々、大先輩から呼び出されて「なんで役者をせずにクイズ番組の司会なんてやっているんだ!」と叱られたという。それでも柳生博氏は「いろんな一般の人たちとおしゃべりができて勉強になる」とクイズ番組の司会を楽しんでやったのだそうだ。谷原氏もドラマで共演した故・児玉清氏からの助言で司会業を引きうけたとか。そういえば、柳生博氏も児玉清氏もスーツがよく似合うハンサムな役者である。

料理、裁縫…時計やデニムのコレクションも

いずれにせよ、司会の仕事で見せるスーツやジャケパンスタイルは、メンズファッション誌でイケメンのモデルがポージングをしているスーツやジャケパンスタイルよりも、番組の中で谷原氏のちょっとしたしぐさでできるドレープのシワや動きのあるVゾーンやチーフの挿し方のほうが、はるかにリアリティーがあって参考になる。あ、顔やスタイルは別としてね。

「めざまし8」では帯ニュース情報番組の総合司会となった。左は永島優美アナウンサー(c)フジテレビ

ご存じのように、三男三女の6人の子持ちで庶民的な顔も持つ谷原氏は、趣味が多いことでもよく知られている。NHKの「きょうの料理」では後藤繁栄アナのダジャレに応戦したり、料理研究家、栗原はるみ氏のアシスタントを難なくこなしたり、料理の腕前はプロ級。子供の通園バッグをパッチワークで作るなど裁縫もラクラクこなす。横浜生まれ横浜育ちだが、祖父が広島出身で熱烈な広島カープファンとしても知られ、始球式に出たこともある。

ファッション業界では腕時計のコレクターとしても知られている。またオールデンなど高級革靴も百足といわれるほど所有しており、ビンテージデニムブーム世代の谷原氏はお宝リーバイスも何十本と所有している。

実は、筆者は共通の友人を介して何度か谷原氏と会食したことがある。もちろんコロナ禍になる前だ。その時につくづく「ハンサムだなぁ」と恐れ入ったのが、谷原氏の料理の食べ方。いつも料理が出てくると、冷めないうちに出来たてをおいしそうに完食してから会話を楽しむのだ。話に夢中になってせっかくの料理が冷めてしまい、作った料理人に失礼になるようなことは絶対にしない。どうよ、これぞ生ハンサム谷原章介!

俳優に司会にファッションに、天から与えられた二物を人生を楽しむがごとく自然体でこなす谷原章介氏は、誰からも好かれる「国民的趣味人」なのである。アマタツさぁ~ん!

いで あつし
1961年静岡生まれ。コピーライターとしてパルコ、西武などの広告を手掛ける。雑誌「ポパイ」にエディターとして参加。大のアメカジ通として知られライター、コラムニストとしてメンズファッション誌、TV誌、新聞などで執筆。「ビギン」、「MEN’S EX」、JR東海道新幹線グリーン車内誌「ひととき」で連載コラムを持つ。

SUITS OF THE YEAR 2021

アフターコロナを見据え、チャレンジ精神に富んだ7人を表彰。情熱と創意工夫、明るく前向きに物事に取り組む姿勢が、スーツスタイルを一層引き立てる。

>> 詳細はこちら

SUITS OF THE YEAR 2021
Watch Special 2021
SPIRE
SUITS OF THE YEAR 2021
Watch Special 2021
Instagram