ましてや、「電車に乗るには切符を買う」といった、法令やルールで制定された標準(デジュリ・スタンダード)は、社会的な合意が形成できればいくらでも変更が可能です。「人には足が2本ある」といった科学的な事実でさえ、空想の世界ではいかようにでも変えられます。にもかかわらず、「変えられない」と思いこむから発想が広がらないのです。

事後にしか合理性が分からない

アンチ思考もエクストリーム思考も、本番のアイデア出しをする前のウオーミングアップとして使うと、後のブレストがとても盛り上がります。練習台ではなく、本当にイノベーティブなアイデアを生み出すために使うのであれば、少し注意が必要です。

ポイントは、非常識な前提を考えたアイデアをどう評価するかです。今までと変わらない常識的な前提で評価すれば、せっかく考えたアイデアもことごとくボツになります。そうではなく、非常識な前提で考えて、合理性があるかどうかを考えなければいけません。

たとえば、ヤマト運輸の宅急便のアイデアは、当時の常識から見れば合理性はまったくありません。ロジカルシンキングで考えれば、間違いなく否定されてしまいます。

ところが、その成功もあり、現在のような一般家庭の小口配送が当たり前になった社会では、大いに合理性があります。事後にしか合理性が証明できないわけです。

つまり、非常識な前提で考えたアイデアは、「自ら新たな土俵をつくり上げるだけのパワーを持っているかどうか?」を評価しないといけないわけです。いわゆる先見の明が要る、なかなか大変な作業となります。

イノベーティブなアイデアは無数の失敗の上にしか花開きません。「非常識!」と言われ続けても挑戦し続ける者だけが、チャンスをものにすることができるです。

堀公俊
日本ファシリテーション協会フェロー。大阪大学大学院工学研究科修了。大手精密機器メーカーで商品開発や経営企画に従事。1995年からファシリテーション活動を展開。2003年に日本ファシリテーション協会を設立、研究会や講演活動を通じて普及・啓発に努める。著書に「ファシリテーション入門第2版」「会議を変えるワンフレーズ」など。

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