その上で、新たなアイデアを考えてみましょう。モールで商品を見て回り、後でネット注文する、といった具合に。これが、アンチ思考を生かした逆設定法(アサンプション・スマッシング)です。

細かい話を言えば、引っくり返し方に3通りがあります(森下伸也『逆説思考』)。

ひとつは、常識の反対を考える「転倒思考」です。「戦争は悪だ」をひっくり返して、「戦争は善だ」とするものです。先ほどのモールの例はこれに当たります。

2つ目に、因果関係の結果を反転させる「逆因果思考」があります。急いでいるときにわざわざ遠回りをする「急がば回れ」ということわざはまさにこれです。

そして3つ目に、原因と結果を逆転させた、「因果反転思考」です。人は悲しいから泣くのではなく、泣くから悲しいのだといった手合いです。いずれも、うまくはまればユニークな発想を生み出すのに貢献してくれます。

エクストリーム思考を組み合わせる

前提を破壊する、という意味では「エクストリーム思考」も同様の効果があります。先ほどのショッピングモールの例で言えば、「お店がたくさんある」を「お店が1万店ある」と極端にまで誇張して考えるのです。

そうなってくると、目指す店を速く見つけるためのサービスや、店から店への移動手段を考える必要がでてきます。そのアイデアは、今の普通のモールでも活用できるかもしれません。

アンチ思考とエクストリーム思考を組み合わせると、さらに面白くなります。

たとえば、「戦争は悪だ」をアンチ思考で考えると「戦争は善だ」になります。さらにエクストリーム思考を加えると、「戦争は最高の善だ」とかなりぶっ飛んだ話になります。仮にそうだとしたら、どんな世界が現出しているのか、思考実験として興味深いところです。

こんなふうに、文化や規範といった社会的な前提はいくらでも変えらます。「トイレの後は手を洗う」などの、社会の中で培われてきた事実上の標準(デファクト・スタンダード)も、人々の思考・行動パターンや嗜好・選択が変化すれば変わってきます。

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事後にしか合理性が分からない
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