――モノの所有欲、執着はあるほうですか。

「いろんなものを着たいな、新しいスニーカーが出たら買いたいな、と思います。でも、クローゼットに納まる量には限界があるので、着ていないモノはどんどん売りに出します。モノがいっぱいの状態は好きではないかな。フリーマーケットアプリ未経験の方には、一度大事なモノを出品して感じていただきたいです。手放したものを買ってくれた人がいて、その人が自分と同じ感覚を持っていそうな人だな、と気付く体験をしたり、いいね、がついたり、コメントがきたりすると、はまりますよ。実は大事なものを知り合いにあげるのって難しいでしょ」

1つ買ったら1つ売るのがポリシーだ。「モノがいっぱいの状態は好きではありません」。次の人の手に渡ることを想像しながら何でも大事に着ている

捨てない時代、ブランドの求心力高める

――フリマアプリの利用者がどんどん増えていますが、ファッションにどんな影響を与えたのでしょうか。

「僕自身もそうですが、モノを大切にするようになったのではないでしょうか。売る前提でいろんなモノを大切に、状態よく使う。試してみてだめだったら売ればいいし、次の人に渡していこう、と。以前はなかった考えでしょうね。僕はスニーカーが好きなのですが、僕が履いたあと、これが欲しかった! という人が買ってくれるならうれしい」

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――同じような感覚が若い世代に芽生えていると思いますか。

「そう思います。モノがあふれている世の中で、どんどん買って、どんどん捨てて、というのは若い方には違和感があるようです。モノが循環することで、1つのブランドがより多くの人に宿ることができます。その方が、ブランドに対する求心力が生まれるんです。もう服を大量生産することには限界が来ていますし、時代のキーは循環させていくということ。捨てずにリサイクルするといいますか、どんどん出品していただくことでモノを循環させて、経済全体が回っていく。モノが売れないといいますが、たんすの肥やしを出品したら、そこにスペースができるので、新品を買うようになるんです」

(聞き手はMen's Fashion編集長 松本和佳)

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