自己紹介でPRは禁物 失敗談を軸に進んで人柄示そう

自己紹介もオンラインが増えて、さらに難しさが増してきた(写真はイメージ) =PIXTA
自己紹介もオンラインが増えて、さらに難しさが増してきた(写真はイメージ) =PIXTA

春は人事異動や引っ越しなどがあり、新たな環境へのデビューが増える時期だ。自己紹介の機会も増える。幼いころからもう何度も経験しているので、慣れている人が多いだろうが、意外に自己紹介の巧拙は開きが大きいもの。上手な自己紹介のポイントを押さえれば、仕事の成果も上げやすくなる。

そもそも自己紹介の目的とは何か。新しい仲間に向けて、自分を知ってもらうことと考えがちだ。確かに、それで間違いはないのだが、やや一面的なとらえ方でもある。職場の場合でいえば、その先、長く一緒に働く同僚たちとのコミュニケーションの第一歩となる。気持ちよく働ける人間的環境づくりが主な目的といえる。ただの「ごあいさつ」ではないのだ。

既に出来上がっている職場環境に迎えてもらう立場としては、目指すべきゴールがいくつかある。たとえば、「警戒心を解く」「好人物の印象を与える」「話しかけやすい情報を提供する」「興味を持ってもらう」「能力・資質を示す」――。これらのゴールは多くの人が自己紹介の際に意識している点だろう。

状況に応じて、これらのゴールに濃淡をつけて、しゃべる中身をアレンジするのが望ましい組み立てとなる。ただ、職場の場合、「仕事だから」という意識が強く働くせいか、「能力・資質を示す」のところに力点を置くケースが多くみられる。「私は昭和A年にまずB部に配属され、次にC室へ移り、主にD畑を歩み~」といった具合に勤務歴をとうとうと並べ立てるのは、結果的に過去の所属先を通して、能力・資質を説明しているわけだ。

ただ、社内での在籍先情報は本人の居場所を示しているだけで、必ずしもスキルや実績を証明してはいない。同じ経営企画室に籍を置いていても、戦略を練っていた人と数値管理にあたっていた人とでは、経験値が異なる。つまり、あまり価値のある情報ではないのだ。社内では公開されている情報だから、わざわざ本人から聞かなくても、手に入れることができる情報だ。働き始めてから後追いで伝わっても困らない。つまり、貴重なデビューの瞬間に優先するほどの価値は低いといえる。

能力・資質は仕事ぶりが証明する。逆に、口先でいくら「優秀だ」「実績豊富」と唱えても、額面通りに受け取ってもらえるとは限らない。むしろ、第一印象をよくして、一緒に働きやすいキャラクターだと感じてもらうほうが先々のプラス評価につながりやすいだろう。今はチームで結果を出していく働き方が主流だ。誰しも一匹狼ではいられない。チームのメンバーとして受け入れてもらうには、仲間を尊重する態度が肝心で、自己紹介はその意識を示すチャンスとなる。自己紹介の戦略的な意味合いをつかむことは、人脈づくりの面からも役に立つ。

だから、自己紹介では親しみやすさを伝える言葉選びのほうが重要だ。同じ成果を出しても、人物面での共感度が低いと、正しく評価してもらいにくくなる。そもそもチームの協力を得られない人は、期待通りの結果を出すことが難しくなってしまう。自己紹介でチームを敵に回すのは、絶対に避けるべきだ。つまり、優先すべき点は同僚たちから「仲間」として共感を得ることだ。その際、年齢や経験を強調して偉そうにみせるのは、決して得策ではない。自慢大会ではないのだ。

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エピソードを通して、欠点をさらす
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