ちなみに1988年から約20年間は英国のイートン校とも交換留学の提携関係にあったが、いまは行われていない。余談になるが実は似たような時期に、日本の私立中高一貫校と英国の名門パブリックスクール(全寮制の私立中高一貫校に相当)との複数の提携関係が同時多発的に自然消滅している。単体の学校の問題ではなく、英国側で表には出てこない何か大きな意思統一があったのだろうと推測できる。

スティーブンソン校は米西海岸にある

台湾留学の満足度が高いわけ

選考は志望動機書を提出したうえで、留学委員会に所属する6人の教員との面接によって行われる。選考基準は公に明示されてはいないが、覚悟や柔軟性を含め、その生徒の適性を総合的に判断するようだ。学業成績も参考資料として見るとのこと。必ずしも語学が得意な生徒を優遇するわけではない。

英語圏のほうがハードルが低いのだろうか。毎年、スティーヴンソン校への応募者は10人ほどいるが、台南一中への応募は多くて7~8人、実際にはもっと少ないことが多いので狙い目だ。しかし意外なことに、プログラムを終えて帰国した留学生たちの満足度は総じて台湾組も非常に高いと松坂さんは言う。

台南一中は台湾の秀才が集まる名門校ではあるが、一方で校風がゆるく自由で、それが心地いいらしい。また台湾は、ひとが温かい。申し訳なるくらいに歓迎してくれる。日本への興味・関心も高く、言語の壁を越えてお互いを理解しようというムードになりやすい。

即席で学んだ中国語で交わせる情報量はたかが知れているが、その代わり、お互いに外国語として学ぶ英語で会話をすれば、むしろそのほうがわかり合える。お互いに外国語として英語を話すから、相手を気遣った会話になる。高校1年生の時点での英語力ならば、生徒によっては、いきなりネーティブスピーカーのなかに放り込まれるよりも、むしろこちらのほうがいい経験になるかもしれない。

一方、スティーヴンソン校はカリフォルニアのモントレーという高級別荘地にある。有名なゴルフトーナメントが行われるペブルビーチにも隣接する。世界中から留学生が訪れるので、珍しがってはもらえない。自分からアクションを動かさないとなかなか交流が難しい。壁を乗り越えて大きく成長して帰ってくるケースと、悔しい思いをして帰ってくるケースとに分かれるのだそうだ。

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