N
趣味・ガジェット
小沢コージのちょっといいクルマ

2021/4/1

小沢コージのちょっといいクルマ

予想外の方向へと進化した走り

さて、肝心の新型ノートe-POWERの走りはどうなのか。モーターやインバーターはこの世代から「まかない飯」ではなく、完全新作へと進化。116psの最高出力と280Nmの最大トルクを発揮し、先代比でトルクが10%、パワーが6%向上している。モード燃費も向上し、WLTCモードで最良29.5 km/リッターをマークする。

ところが実際に走らせてみると、意外にも初代ほどビリビリくる電動感はない。アクセルレスポンスは相変わらずいいが、加速感は同等で、何より全体的に滑らかで上質な方向へとシフトしている。

一番驚いたのはアクセルオフ時の減速感だ。3段階から選べるドライブモードと、シフトをDモード、もしくBモードに入れるかで減速度が変わるが、確実に旧型より穏やか。さらにアクセルオフでも完全停止しない。

先代ノートe-POWERは、そのビックリ電動加速感やワンペダル運転で人気を博したのだから、新型はてっきり初代以上にレスポンスを高め、極端な味付けをしてくるかと思っていた。ところが運転してみると、進む方向は正反対。e-POWER独特のフィーリングはしっかり保ちながらも、全体を上質化させる方向に進化した。

この新型の味つけは、長距離乗るとその真価が見えてくる。最初は少し拍子抜けするが、乗れば乗るほど思い通りにクルマをコントロールでき、疲れないことが分かってくるのだ。

e-POWERの奇跡はまだまだ続く

今回の個人的な取材テーマは「e-POWERの奇跡は続くのか?」だったのだが、ズバリ言おう。e-POWERの奇跡は、まだまだ続くに違いない。日産独自の電動感覚の魅力は、より広い層、例えば加速感に敏感で酔いやすい女性や子供などにも受け入れられるように進化しているからだ。

その一方で、今後ライバルの電動化も着々と進む。20年2月に発売されたホンダのフィットはもちろん、今後出てくるだろうトヨタのハイブリッド車も、より電動感を強めてくるのは確実と思われる。

これから、ますます電動加速の「風味勝負」の時代が来る。そう私は予想している。

より上質な「電動風味」を作り込んできた新型ノート e-POWER。「e-POWERの奇跡」はまだまだ続くはずだ
小沢コージ
自動車からスクーターから時計まで斬るバラエティー自動車ジャーナリスト。連載は「ベストカー」「時計Begin」「MonoMax」「夕刊フジ」「週刊プレイボーイ」など。主な著書に「クルマ界のすごい12人」(新潮新書)「車の運転が怖い人のためのドライブ上達読本」(宝島社)。愛車はロールス・ロイス・コーニッシュクーペ、シティ・カブリオレなど。

(編集協力 出雲井亨)

注目記事