早いもので、3月26日はショーケンの三回忌だ。あえて萩原健一ではなくショーケンと書かせていただきます。やっぱり筆者の世代はショーケン、なのだよなぁ。
「太陽にほえろ!」のファッションに衝撃
まだ駆け出しのコピーライターだった頃、どうしてもショーケンに会いたくて雑誌のインタビューに立ち会わせてもらったことがある。場所は東京・赤坂の旧プリンスホテルの別館だった。どんな話をしたのかは緊張してまるで憶(おぼ)えていないが、その時のショーケンが着ていた服だけは今でもよく憶えている。
白いイングランド襟のコットンポロシャツにグレーのサマーウールパンツで、黒いソックスにキャンバス製の白いローテクスニーカー。格好よかったなぁ。いや、あれはショーケンだから格好よかったのだ。
そこで今回は、役者や歌手だけでなくファッションアイコンとしても日本の男たちに多大な影響を与えた、俺たちのショーケンの格好よさについて考察してみたい。
筆者と同世代のオジサンたちがショーケンの格好よさを知ったのは、GS(グループ・サウンズ)ブームのザ・テンプターズ時代の頃よりも、むしろ「太陽にほえろ!」のマカロニ刑事であろう。
もちろん、それ以前にも映画「約束」で役者としてデビューした時の、まるでフランス映画に出てくる役者のようなノンシャランなコートスタイルのショーケンもむちゃくちゃ格好いいが、やはり「太陽にほえろ!」のマカロニ刑事の初登場シーンは衝撃だった。

後に松田優作のジーパン刑事へと続く七曲署の初代新米刑事、早見淳のニックネームは「マカロニ」。パンタロンのスリーピースにドレスシャツをノーネクタイで着て長髪。今でこそノータイの刑事は刑事ドラマで普通だが、ショーケンの「いかにも刑事みたいな格好はしたくない」という提案で生まれたこのファッションスタイルは、当時画期的だったのだ。
ちなみにマカロニというニックネームは、七曲署に就任した時の格好を見て、殿下こと小野寺昭が「マカロニウエスタン(の映画)でこんな格好のやつがいたな」という一言で名付けられた。決してパスタのマカロニではないですから。

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